数々の敵を倒してきた戦士が最も恐れるダンジョン「赤き洞窟」の正体とは?/3分間ミステリー らせんの迷宮3③

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/25

『赤き洞窟』にかくされた意味

 邪竜王を一人ソロで倒した歴戦の戦士が、そこまで恐れる《赤き洞窟》とは?

 この洞窟は、人の体の中に存在します。

 おなかの調子が悪い時、「内視鏡」という医療器具を使って検査をすることがあります。

 これはコードの先にライトとカメラがあり、鼻や口から入れて悪い病気の原因がないかを検査するための器具なのです。自分の体の中の様子はモニターで見ることもできるのですが、それはまるで赤い洞窟の中を進んでいくような不思議な光景です。

 もし、〈病気かいぶつ〉の巣が見つかってしまったら──。

 彼は前日にプレイしたゲームで、強大な敵・邪竜王と一人ソロで戦って勝利したことを思い返し、この緊張と不安と恐怖をゲーム的な思考で乗り切ろうとがんばりました。

 それに、いざとなれば術で助けてくれる仲間──いえ、手術で治療をしてくれる心強い医師がそばにいます。でもどうやら、検査の結果は異常なしだったようですね。

 ああ、よかった。安心したら帰ってゲームがやりたくなりました。

<第4回に続く>

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