電車が通過した線路の上に人の首!? 声のする方にいたのは？／3分間ミステリー 真実を知るのは誰？1⑬
文芸・カルチャー 公開日：2023/9/4
『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー 真実を知るのは誰？』（緑川聖司/ポプラ社）第13回【全16回】
1話2～3ページの短い物語を読み、その中の”かくされた意味”を考える『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』シリーズ。物語を読み終わったら想像力を巡らせ、解説ページで答え合わせをするのがこのシリーズの楽しみ方！ 今回の連載ではシリーズのなかでも人気の4冊から、それぞれ4つの物語をご紹介します。やさしいものから大がかりなトリックが仕組まれたものまで、あなたは物語の真の意味にたどり着けるか？
見るなよ
塾にいくため、ホームでテキストを読みながら電車を待っていると、目の前を急行電車が通過していった。
「あっ！」
だれかの悲鳴のような声と、ドンッという鈍い音に、反射的に顔をあげると、電車が通過したあとの線路の上に、男の首が落ちていた。
え？ とび込み？
首はぼさぼさの前髪の間から、おどろいたように大きく見開いた目で、わたしをまっすぐに見上げている。
とつぜんの出来事に、わたしが凍りついていると、
「じろじろ見るなよ」
低い男の声が、背後から聞こえた。
