グリム童話『白雪姫』あらすじ紹介。姫と王子の結婚式の余興で焼いた鉄靴を履き死ぬまで踊らされた――。継母の恐ろしい最期。

文芸・カルチャー

更新日:2023/10/10

ディズニープリンセスでおなじみ、絵本でも定番の白雪姫ですが、原作であるグリム童話の全文を読んだことのある方は意外と少ないのではないでしょうか? そこで今回はグリム兄弟『白雪姫』のあらすじを解説します。絵本やアニメ版とは異なる部分があります。そのため原典を読んで、セリフやストーリーの違う箇所を見つけてみるのも面白いと思います。

白雪姫

『白雪姫』の作品解説

『白雪姫』は、19世紀ドイツでグリム兄弟によって執筆された『グリム童話集』の中の一作品です。世界で最も多言語に翻訳され、読まれた文学とも言われています。それゆえ出版年代や改訂、訳者による差異も多いため、相違点を探すのも面白いかもしれません。

『白雪姫』の主な登場人物

白雪姫:雪のように白い肌をもって生まれた美しい王女。

お妃様:白雪姫を産んで間もなく亡くなった実母。

継母:白雪姫の継母。高慢な性格。魔法の鏡の持ち主。

魔法の鏡:継母が持っている、訊けばなんでも答えてくれる不思議な鏡。

七人の小人:白雪姫が森で出会った7人の小人。

王子:安置されていた白雪姫に惚れ込んだ王子。

『白雪姫』のあらすじ​​

 昔々あるところに王様と美しいお妃様がいました。ふたりのもとには、雪のような白い肌の美しい娘が生まれ、白雪姫と名付けられました。しかし、生まれてすぐにお妃様は亡くなり、継母に育てられていました。白雪姫が7つの頃には継母より美しく成長したため、高慢な性格の継母は、自分よりも美しい白雪姫を憎むようになりました。

 日がな魔法の鏡で承認欲求を満たしていた継母は、ある日いつものように「この国で一番美しい女はだあれ?」と魔法の鏡に問うと、「それは白雪姫です」との答えが返ってきました。怒った継母は、狩人に命じて姫を殺害しようとしましたが、憐れみ深い狩人は白雪姫を森に置き去りにして命を助け、代わりにイノシシの肺と肝臓を証拠として持ち帰り、継母はそれを大喜びで食べました。

 森に残された姫は、ひとりで森をさまよい続け、やがて小さな家を見つけます。疲れていた姫は、そのまま家のベッドで寝てしまいました。そこは、森の住人である7人の小人の住む家だったのです。姫は、小人たちの世話をする代わりに家にかくまってもらうことになりました。一方、魔法の鏡によって白雪姫が生きていることを知った継母は、小人たちに邪魔されつつも執念で暗殺計画を実行し続けます。

 そして3度目でリンゴによる毒殺が成功し、ガラスの棺に安置されていた姫。そこへ通りがかった王子が一目惚れします。きっと白雪姫のことを粗末にはしないと小人たちに約束して引き取った矢先、木に躓いた家来が棺を取り落としてしまいます。ショックで姫は蘇生し、王子は大喜びで国へ連れ帰りました。結婚披露宴の余興は、灼けた鉄の靴を履かされた継母の死ぬまで続く舞踏となりました……。

『白雪姫』の教訓・感想​​

「美」に執着し、白雪姫を嫉み、執念深く謀殺しようとする継母。版によっては姫の殺害失敗により発狂したり、癇癪を起こして叩き割った鏡が刺さって死亡したりと、いずれにせよ因果応報な最期を遂げています。グリム童話の『白雪姫』には、嫉妬や執着心にとらわれて人を傷つけると自分に返ってくるという教訓が含まれています。

<第33回に続く>

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