怒りを爆発させた女が、敵将を井戸に放り込む!? 大王も笑って許した彼女の勇気とは/つい人に話したくなる名画の雑学④

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/17

つい人に話したくなる名画の雑学
1819年 油彩、キャンバス 1053×1450㎜ キンベル美術館(アメリカ、フォートワース)

怒りの先に悟った王家の役割

『アキレスの怒り』

ジャック=ルイ・ダヴィッド
【フランス 1748~1825年】

悲しみの表情からすべてを悟ったアキレス

 剣に手をかけた半裸の若者は、あのアキレス腱で有名な英雄アキレスです。これはギリシャ神話にあるトロイア戦争での一場面。

 ギリシャの王アガメムノンは「アキレスとの結婚」と称して娘イーピゲネイアを宮殿より連れ出します。しかし、この結婚話は噓。娘をアテナ神に生贄として捧げるのが真の目的でした。アテナに戦争の味方をしてもらうためです。王からその告白を受けたアキレスはブチ切れ、王を叩き斬ろうと剣に手を伸ばすのです。嫁候補を生贄にするなんて誰でも怒りますよね。しかし、アキレスは思い留まります。国のためとはいえ、娘を生贄にするのは辛い。王の悲しみを湛えた目を見てその事を悟ったからでした。

古代ギリシャ美術を復活させたダヴィッド

 画家ダヴィッドは、ヨーロッパの新古典主義を代表する人物。古代ギリシャ美術を復活させるという目標の集大成として、この作品を完成させ非常に高い評価を得ました。王、娘、王妃、それぞれの悲しみの表情を見事に表現した傑作です。

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