男子禁制☆峰なゆかのヒミツの更衣室『２番手の女』

　　主人公のジェイコブ・ホーナーも女をフォルダ分けする男である。海で逆ナンしてきた女、ペギーのことはもちろんセフレフォルダに。そして「四十歳の、男に拾われる女」と名前をつけて保存。ペギーがセックス以外のことを求めたりと、「四十歳の、男に拾われる女」という単純な役柄を全うしようとしないことが分かると、前戯の途中でも部屋を出ようとするほどド鬼畜です。

　いくぶん風変わりな人柄の彼が、フォルダ分けに厳粛なのは女にだけではありません。ペギーだって俺に「新鮮だが、聡明でない、肉体以外にまともにとりあげることもない、楽しみのために利用される肉体をもつ青年」という役柄をふればよかったのに、と真剣に考えさえします。

　一方、同僚のジョー・モーガンは妻とお互いのあらゆる点を尊敬しあうことを了解事項としているオンリーワンな結婚生活を送っています。互いを尊敬しあうためなら妻を二、三発殴りつけることだって厭わない、ジェイコブとはまた違った方向性で鬼畜なものの、彼もまた真剣で、この二人が絡むのだから物語が突飛な方向性に転がっていくのも必至。
　語り口は気が抜けるほど風変わりで、長い長い会話は言葉遊びのようで、私はどうにもこの小説をフォルダ分けすることができません。