【1分間名作あらすじ】破壊的な女性関係・薬物中毒・自殺未遂…太宰治が遺した、生きるということの意味――太宰治『人間失格』

文芸・カルチャー

2019/2/17

『人間失格 (新潮文庫)』(太宰治/新潮社)

 主人公の葉蔵は、東北の裕福な家庭に生まれた。周りの人間と同じ感覚を持てずに苦悩し、それゆえ彼は道化を演じることに徹して育った。女中や下男から大人の汚さを見せつけられながら、ただ笑っては周りの機嫌をうかがっていた。

 中学性の頃、貧弱な同級生である竹一に道化を見抜かれ、彼は人間に対してさらなる恐怖を抱くようになる。そして旧制高校に入り、堀木という先輩から、酒・煙草・淫売婦・左翼思想などを教えられ、それらに浸って人間や世の中に対する恐怖を紛らわすようになる。

 そんな生活の末追い詰められた彼は、ツネ子という人妻と一夜を過ごし、心中未遂をする。ひとりだけ生き残った彼はヒラメという男に引き取られるも、すぐに居心地が悪くなり逃げ出す。

 彼はシングルマザーやバーのマダムなど、破壊的な女性関係にはまり込み、しかし今度は幸福であることを恐れて逃げ出す。その後、煙草屋の純粋無垢な娘と結婚し、一時的に平穏で幸福な日常を手に入れた。

 しかしある晩、その妻は商人に強姦されてしまう。純粋な彼女が世間に対して持っていた「信頼」が汚されたことで、彼は多大なる恐怖に襲われる。絶望の淵に立たされた彼はアルコール中毒になり、睡眠薬を使って自殺未遂を起こす。

 その後彼はモルヒネ中毒にかかってしまい、薬屋からつけ払いで何度もモルヒネの注射液を買うようになる。返済不能なほどのつけが溜まり、彼は薬屋の奥さんとも関係を持つようになる。

 周りから狂人のレッテルをばり貼られた彼は、ついに精神科病棟に強制入院させられる。その後故郷に引き取られると廃人のようになり、ただ過ぎ去る時間の中に佇んでいる。

文=K(稲)