太宰治が第一回芥川賞落選で川端康成に逆ギレ…そうまでして受賞したかった理由/炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史①
日本文学史に残る数々の名作の裏には、炎上があった…! 不倫やフェチ、借金、毒親、DVなど…文豪たちは苦しみながらアノ名作を残した。炎上キーワードをひもとき、彼らの人生の一時期を紹介する『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』(山口謠司/集英社インターナショナル)から、5つの炎上案件を掲載!※本記事は 山口謠司 著の書籍『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』から一部抜粋・編集した連載です
『炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史』(山口 謠司/集英社インターナショナル)
太宰治と憤怒 見苦しいほどの功名心と金欠
イラスト:三浦由美子
私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思いをした。(中略)刺す。そうも思った。大悪党だと思った。 (太宰治「川端康成へ」) 「憤怒」の「憤」は心の怒りが火山のように爆発することである。また「怒」は、張り裂けるように強い緊張感で怒りが心に籠もることをいう。 太宰治(一九〇九~一九四八)はなぜこんなに怒っているのか。 そしてこの時の「憤怒」の気持ちが、その後、太宰の名作を生み出していくこととなる。
運命を分けた第一回…