不倫する妻は30~40代が最多で約2割! なぜ外で…?『中高年のための性生活の知恵』⑦

恋愛・結婚

公開日:2019/7/11


「セックスを避けられるようになって…もう愛されていないのかもしれない」そうした寂しさをひっそりと抱えている中高年の男性や女性は多いようです。男性は、中高年期の女性の心と体の変化を知らない。女性は、中高年期の男性の心と体の変化を知らない。そのことが、寂しさの根っこに存在しています。気持ちのすれ違いは、お互いの心と体の変化を知ることで解決するはず。中高年期ならではの豊かで穏やかな性を楽しみ、愛で満たされた毎日となるように――。

性欲よりも「女性として見られたい」(金子和子)

■女性はセックスで承認欲求が満たされる

 現代日本のセックスレスの増加、特に中高年にその傾向が顕著であることは連載1回で取り上げた通りです。女性の社会進出が進み、それに比例するように家庭内での発言権も増したことから、望まないセックスに対して「NO」と言えるようになったことが背景でした。

 ですが、拒否はできても、「セックスがしたい」「もっとこうしてほしい」という要望については、一般的に恥ずかしさから口にすることができない女性がまだまだ大多数です。性に関しては口にすることがタブーであった時代を生きた中高年女性にとっては、非常に高いハードルであることに間違いはありません。

 ただ、女性の場合、単純にセックスによって性欲を解消することを望んでいるわけではありません。わたしのところへご相談に来る女性たちが最も多く口にするのが「女性として認められたい」「寂しい」「つまらない」という言葉です。

 女性の場合「セックスがある=女性として見られている」という認識が非常に高く、自分の性欲を満足させるというよりも「女性として見られている」証しとしてセックスを求める側面があります。

「寂しさ」「つまらなさ」「空虚感」といった精神的な穴を埋めるものとしてセックスがあるわけです。これは、大変重要なポイントです。

 そのことを証明するかのように、家庭内でのセックスレスが増加するにつれ、セックスの現役感を家庭の外へ求める女性たちが増加傾向にあります。つまり、いわゆる「不倫」をする妻たちの増加です。

■不倫体験を語る妻たち

 昔であれば、不倫していることを仲間内で話したりしませんでした。しかし今は、子どもが大きくなって手を離れた年代のママ友たちが4~5人集まっておしゃべりすれば、重要な話題の一つは不倫相手のこと。人妻が不倫していることを誇らしげに語り合うのも珍しくない時代なのです。

 そのような話は、ごく一部の妻たちの話だと思って、最初のころは聞いていました。しかし、不倫する妻はレアケースではないことがある時判明したのです。
別のところで40代の女性に妻たちのセックスの実態を聞いてみたところ、「うちのマンションでもそうよ」とさらりと言われてしまったのです。派手な芸能人が住む高級マンションではなく、ごくごく普通のサラリーマン家庭が住まうマンション仲間の話です。

「セックスの現役感」や「不倫」は、今やきらびやかな生活を送っている人たちのものだけではありません。ママさんバレーに精を出したり、パートで家計を助けたりするような、一般の妻たちでも自慢気に話す時代となっているのが実態です。

■不倫する妻は30~40代が最多で約2割

 わたしたちが行った調査によると、40代で15%、50 代で16%の妻が不倫をしているという結果が出ました(77ページグラフ)。この調査では「配偶者以外の異性との関係」を問いました。そこには「精神的愛情」や「売買春」も含まれていますので「不倫」と若干ずれる部分もありますが、おおよその傾向は十分に示してくれます。2000年に行った同じ調査では、40代で9%、50代で4%ですから、妻たちの婚外セックスがいかに活発化しているかが分かります。

 相模ゴム工業が2018年に1万人以上を対象に行ったインターネットによる調査でも20~60代の女性の15%に婚外セックスのパートナーがおり、最も多いのが30代で、実に18%の妻が婚外セックスをしています。

 家庭内でセックスレスが進み「女性として見られない」寂しさや虚しさを埋める女性の承認欲求が、婚外セックスへ向かわせていると考えられます。

 この傾向は夫たちも同じです。2000年と2012年で比べると、40代は13%から38%、50代は14%から32%と、婚外で異性と親密な関係を持っている(「売買春」と「精神的愛情関係」を含む)男性も2倍に増加しています(下段グラフ)。「男性として扱ってもらえない」「家庭内でリラックスができない」と感じている夫たちが同じ数だけ増えたといえるのかもしれません。

「性は秘め事」という認識から「性欲があるのは人間的に当たり前」という認識が広がっていること、出会い系サイトなどが急増したことで婚外のパートナーを探すことが容易になったことなどが、不倫増加に大きく影響したと思われます。

 婚外セックスは一般的には「不倫」といわれており、「人の道にもとる」という意味ですが、このデータを見れば、わたしは婚外パートナーを求める妻や夫たちにこの言葉を当てることが、果たしてふさわしいのか疑問を持ちます。

 女性として認められない寂しさや虚しさを抱えた妻たち、男性としての自信を喪失したまま家庭内で心安らげない夫たちへ思いをはせれば、不倫を善悪だけで裁くことで問題が解決するとは思えないのが、正直なところです。

<第8回「“相手が満足している”という男性の思い込みに続く>