幼なじみとの“育む恋”と転校生との“落ちる恋”に挟まれる、青春三角関係物語!『落ちて溺れて』/マンガPOP横丁(67)

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更新日:2021/7/13

落ちて溺れて
『落ちて溺れて』(伊鳴優子/講談社)

 突然ですがみなさんへ質問をひとつ。みなさんの中で理想の恋愛の始まり方は、友情から関係を育みながら始まる系ですか? それとも、出会った時に何かの拍子で恋に落ちて始まる系ですか? ちなみに私はりまはというと、ゆっくり育んでいきたい系。ベタではあるけど、お相手は幼なじみで、仲良く遊んだり一緒に帰っていたりしていたのが、思春期真っ只中の頃にお互いを意識し始め、めでたく恋人として成立。もう最高じゃないですか(あくまでも個人の見解です)! ただ、このシチュエーションは、もう自分には実現できないのがちょいと寂しいかなと思ったり。なので今は一目惚れで始まる、いわゆる落ちる恋が来ることを期待するばかりですが…!

 さて、なぜ先ほどの質問をしたのかというと、このふたつの恋のはじまりに挟まれて翻弄されちゃう女子高生の青春物語『落ちて溺れて』(伊鳴優子/講談社)が今回ご紹介する作品だからなのです。ただ、この主人公少女には恋とは別の“試練”が判明します。それは一体何なのかを含め、ちょっとだけ作品に触れていきます。

 インフルエンザで他の生徒よりも2週間遅れて新学期を迎えた高校2年生の天満帆夏には、山路冬馬という幼なじみがいる。この2人、ほかの生徒から見るといつも一緒で仲良さげな様子から、恋人同士なのではという噂が出るほど! さらに今回クラスが同じになったことで、同じく幼なじみで同じクラスになった秋音には「この際付き合っちゃえばいいのに」と言われる始末。しかし帆夏は、冬馬と一緒にいることで安心感を抱いてはいるものの、恋までは踏み切れていないご様子。

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 さて、帆夏にとって2週間遅れとなる新学期の初日。とある人物との出会いが待ち受けていた。それは、一昨日来たばかりの転校生男子なのだが、これがクラスの評判が大変悪い。そんな彼も新学期からずっと休んでいたということに仲間意識を持った帆夏は、欠席仲間として仲良くなりたいと思っていたその時、背後から「おい邪魔」という強い言葉を受けてしまう。彼が例の転校生の立花春。このツンツンぶりに帆夏は心折れず、春への接近に挑む。すると帆夏と仲の良い男子がいることが春に知られ、その流れで帆夏が冬馬とゆっくり恋に向かっていることを話すが、春は「恋愛じゃない」とバッサリ。それは彼が恋愛というのは“落ちる”ものだと思っているからだった。この後、帆夏と春がドキドキしちゃう急接近ハプニングが起きることをお互いは知らない。

 そして明かされてゆく、冬馬と春と帆夏との関係。春が知る、実は帆夏が6年前の事故で11年分の記憶がなくなっていること――。

 幼なじみとのゆっくり育む恋か、突然の転校生との落ちる恋か。ふたつの恋のアプローチに挟まれ翻弄される過去の記憶を失った少女に訪れる、三角関係の青春と過去の真実の行方は――。

 紹介のラストに衝撃の要素が入りましたね。そうなんです、ただの青春ラブストーリーではなく、謎に満ちた帆夏の過去が明かされるサスペンス的な要素も入っているのだ。でも基本的にはニヤニヤでドキドキして、思わず「キャー」と歓声をあげちゃうようなシーンで溢れている甘酸っぱい青春物語です!

 なお今回のPOPでは、これらの要素をいかに簡潔に表せばいいかとずーっとポクポクチーンと考えた結果、「さんかっキューンな恋」というワードを採用。もとは「三角形の胸キュンな恋」。ここから「三角形の胸キュンな恋」→「さんかっけいのキュンな恋」→「さっかっキュンな恋」。POPの言葉は言葉遊びの部分がほとんどなので、強引な変形は大歓迎なのです! そして背景に3つのハートをトライアングル配置しているところでその関係を表してみた。色も文言と合わせていることにも注目しながら作品の本編をお読みになると、さらに楽しめるかと!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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