ネコが人間社会に進出!? にゃんともかわいいニャンタジック短編集！『ネオ・キャット』／マンガPOP横丁(80)
マンガ 公開日：2021/10/8
世界中のネコスキーの皆さま、お待たせいたしました！ 『ネオ・キャット』（青化/祥伝社）でかわいいネコちゃんたちとの共存共栄が実現しちゃいます。
マンガや小説などで見られる人間と交流できるネコは、人間の身長よりやや低めの獣人系が多いと思うが、この作品の世界のネコは普通の大きさで、生態もネコそのもの。人間社会に進出したネコと人間が交流する日常の様子を8つの物語で描いた、ファンタジックならぬ、ネコだけにニャンタジック短編集である。
さて、どの話もかわいくて癒やされるものばかりだが、作品のトップを飾る「KIKUO」は、海沿いで絵画店を営むおじいさんの物語。家族とは別々で生活している彼は、毎日海の絵を描く生活を送っていた。ある日、妻が1年ぶりにお店を訪れ、1人でいる彼のためにあることを提案する。それは、マッチングアプリの利用だ。早速おじいさんはアプリを使ってみる。喫茶店で待ち合わせしてやって来たのは、ネコの「きくお」。それからというもの、サーフィンも嗜むおじいさんは、きくおにサーフィンを伝授したり、砂浜で一緒に寝転んだりと、きくおとの楽しい時間を過ごした。だが……。この続きはぜひ本編でまったりと楽しんでいただきたい。そしてサーフィンをマスターしたきくおが編み出した『きくお型』がとってもイイ。かわいい。
この他にも、ある女性がキャバ嬢ネコに入れ込んで愛とプライドを見せる話や、ネコ社長がいる新鋭企業訪問、ネコ園児と先生の学芸会など、さまざまなところでのネコと人間の日常の物語が描かれる。総じて言えるのは、ネコは寝る、そしてリアルネコ界でも最強と言われている、スティック型のあの「おや～つ」は作中でも強いということ！ もう見どころがいっぱいだ。それだけではない。人間とネコが共存する上で浮上してくる「認識や思想」についても密かに描かれており、この世界をどこかリアルに感じさせてくれる。これを読んだら、ネコに対する意識に変化が起きるかも？
それでも「かわいい」と思っちゃうし悶えちゃうこと確実な本作。ちなみに、はりまの中で印象に残った場面はたくさんあるが、その中でも一番というくらいのネコの表情をPOPのどこかに潜ませておいた。読んだ方は共感できる！ ……と期待したい。
最後に。どの世界でも「かわいい」と「おや～つ」は最強だな！
文・手書きPOP＝はりまりょう
