愛の料理で掴む厭世家青年の心と胃袋!人気漫画のグルメ特化スピンオフ『大正処女御伽話-厭世家ノ食卓-』/マンガPOP横丁(84)

マンガ

公開日:2021/11/5

大正処女御伽話-厭世家ノ食卓-
『大正処女御伽話-厭世家ノ食卓-』(桐丘さな/集英社)

“気になる新作のマンガ作品を紹介する”というコンセプトでお送りしている性質上、すでに人気になっているシリーズものなどに触れることがあまりないこの「マンガPOP横丁」ですが、今回はなんと、#30の『将棋めし』以来の人気作のシリーズ回です(業界人っぽく「#〜」って言ってみたかった)! しかも、ずっと推しに推したかった作品で、本作は最近新たに始まったスピンオフ。さらにこの記事は、本編のテレビアニメが放送真っ只中という素晴らしいタイミングに公開! アニメ放送中にこの記事を見た方はもちろん、放送終了後この記事にたどり着いた方も、ぜひ最後までお付き合いください。ということで今回は、桐丘さな先生の『大正処女御伽話-厭世家ノ食卓-』(集英社)をご紹介!


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 まず今回の作品を紹介する前に、本編『大正処女御伽話』のあらすじをざっくりご紹介。舞台は大正時代の日本。お金持ちの家で生まれた青年の志磨珠彦は、事故が原因で母と右手の自由、そして父らの将来の期待を失い、養生という名目で田舎の別荘に追いやられ、ひとり暮らしをすることに。引きこもる毎日を送り、世の中のすべてに嫌気がさした“厭世家(ペシミスト)”と成り果てていた。そんな彼のもとに、立花夕月という少女が突然やって来る。彼女は珠彦の生活を助けるために父が用意した未来のお嫁さんとなる人だった。いきなり始まる少女との同棲生活は、珠彦にとって戸惑いの連続。とある日では、夕月が入浴しているのを知らずに、珠彦が裸で鉢合わせするというドキドキの場面も! 一方で夕月は、買われてきた身であるにもかかわらず、あらゆる家事からお風呂での背中流しまで、そして超積極的&天真爛漫に珠彦をサポート! さまざまな試練を2人で乗り越えつつ、徐々に愛を育んでいくというスイートラブコメだ。

 田舎暮らしを強いられたことで荒んでいった珠彦の心。そんなどん底の彼を救ったのは……夕月が作るごはんだった!? 本作は夕月による愛情たっぷりの和食が珠彦の心と胃袋をガッチリ掴む様子を描いた、おいしいごはんスピンオフだ。彼女の作るメニューはお味噌汁やお餅、そして当時はハイカラだったカツ丼と幅広い。実においしそうで珠彦の幸せっぷりに読む側の心も満たされてしまう。そしてこのスピンオフだけでも十分に楽しめるが、本編でデパートに出かけた回の描かれなかったところに触れたり、珠彦の妹・珠子など人気キャラクターが登場したりと、本編も読みたくなる仕掛けが至る所にちりばめられている。

 終始愛で満たされた2人のごはんラブコメ。愛情とおいしいごはんを欲している方には特にオススメしたい。はりまが満たされたように、読後はきっと幸せな気持ちでいっぱいになっていますよ。

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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