規模も笑撃も超ド級!『北斗の拳』ドラマ制作もしもコメディ漫画『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』/マンガPOP横丁(86)

マンガ

公開日:2021/11/19

北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝
『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』(武論尊・原哲夫:原案、倉尾宏:漫画/コアミックス)

 199X年。世界は核の炎につつまれた。海は枯れ地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。だが、人類は死滅していなかった。そんな荒れ果てた世界を旅する革ジャンを着た男・ケンシロウは、いままさに道中で出会った少女・リンの命が危うい場面に遭遇していた。彼の前に立つのは、左の額に「Z」の文字が刻まれたモヒカン男の集団。そのリーダー格の大男が、まるで人形のようにリンの体をへし折ろうとしていた。ケンシロウにその場から離れるように叫ぶリン。しかしケンシロウはモヒカン集団の前へ歩み出す。手下たちがケンシロウに襲い掛かった瞬間、彼らの身体に異変が起き……、


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「カーーーーーット!!!」「はいオッケー!!」

 と命の駆け引きが行われている場に響き渡る声! 途端にケンシロウが攻撃を仕掛けてきたモヒカン男たちに「すいません、パンチが当たっちゃいました」と話し掛け、さらにモヒカン男側も「気にしないでいーよぉ」と返答。

 ……ん? 実はここは世紀末の世界ではなく、とある撮影スタジオ。ケンシロウを演じる橘優李(たちばなゆうり)の主演で1983年9月放送予定の、拳法使いのケンシロウが愛と正義のために戦うドラマの撮影現場だ。日本では類を見ない奇抜な設定の連続テレビドラマ『金曜ドラマ北斗の拳』第1話の収録中の場面。アクションや特撮映画に長けた監督の指揮のもとで順調に撮影が進んでいた。ここでみなさんに認識してほしいのが、この世界にマンガの『北斗の拳』は存在していないということ。つまりこのドラマが“オリジナル”だ。そんな彼らの撮影の日々を描いたのが、『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』(武論尊・原哲夫:原案、倉尾宏:漫画/コアミックス)である。

 はりまが待望していた「実写で『北斗の拳』を制作するとどうなるか」に挑む作品が現れました。『北斗の拳』の“もしもシリーズ”コメディ! さまざまなアニメ作品や「実写化は不可能」と言われた作品が作られている昨今で、マンガではあるものの実現しました! これはファンのみならず、なんとなくでも作品を知っている方も必読です。設定上はこのドラマがオリジナルなので、スタッフは行き当たりばったりで作品を作り上げています。別の意味で命懸けです。

『北斗の拳』といえばその独特な設定はもちろん、数々のエグい場面や名言も注目のひとつですが、それらが撮影現場で“奇跡的”に誕生していきます。やっぱり、ザコたちがケンシロウの必殺技で爆発四散するシーンの裏側は一見の価値アリ。制作側の非常な努力で作られた“仕掛け”が描かれています。そして役者たちの人間ドラマも楽しい! 1巻では第1話の放送分までのエピソードが収録されているので、ぜひ作中の視聴者の反応を見届けてほしいです。

 今年最高の激ヤバエンタメマンガのひとつとして、自信をもっておススメします!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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