子どもがスマホのフィルタリングを勝手に無効にしてイライラします/子どものスマホ問題はルール決めで解決します

暮らし

公開日:2022/3/13

子どものスマホはやむを得ないとは思っても、「ゲームばかりで勉強しない」「使用時間を守らない」など悩みは尽きません。親としては決めたルールを守って適度に使用してほしいものですが、ルールを守らせるのもひと苦労! 教育評論家の石田勝紀先生の著書『子どものスマホ問題はルール決めで解決します』(主婦の友社)では、親を悩ませる「スマホ問題」を解決する「ルール決め」を提案。それぞれの親子のパターンから、あなたの悩みを解消しませんか?

※本稿は『子どものスマホ問題はルール決めで解決します』(石田勝紀/主婦の友社)から一部抜粋・編集しました。

子どものスマホ問題はルール決めで解決します
『子どものスマホ問題はルール決めで解決します』(石田勝紀/主婦の友社)

【フィルタリングが役に立たない】

フィルタリングを勝手に無効に。学校支給のタブレットには制限がかけられずイライラ

 学校支給のタブレットと、個人のスマホを使っています。スマホには使用時間とアクセス制限のフィルタリングをかけました。ところがネットで知った裏ワザを使い、制限をすり抜けていたことが発覚。フィルタリングをかけては裏をかかれるいたちごっこで、この子はどんな手を使ってでもすり抜けるのだろうと思うようになりました。また、学校支給のタブレットはそもそも親がフィルタリングをかけられないので、動画が見放題の状態です……。

渡辺智子さん

渡辺智子さん
子ども/中2男子

親の決めた暗証番号はこうして見破られる

先生

石田先生:親が設定したフィルタリングを勝手に解除する。これねぇ、どうしようもないんですよ。

母

渡辺さん:でも「親の安心のために」とスマホ会社は言いますよね。プロが設計したシステムなのに、どうして中学生がサクッと解除できるんでしょう?

先生

石田先生:第一に、親の脇がすごく甘い。フィルタリングの暗証番号は、簡単に見破られます。

母

渡辺さん:ウソ……。

先生

石田先生:ある子どもが言っていました。親の暗証番号はいつもワンパターンだからって(笑)

母

渡辺さん:そういえば、だいたいは家族の誕生日ですね。

先生

石田先生:カードで決済するときなんかに、親の手元を見ているんでしょうね。家族の誕生日を入れていけば2回目ぐらいで当たっちゃうって。

母

渡辺さん:油断していました。

先生

石田先生:もうちょっと、子どもにわからないような暗証番号を使うことですね。でも、子どもは親が気づかないように、上手に盗み見しますよ(笑)

母

渡辺さん:そういうものなんですね。

先生

石田先生:そういうものです。それから、これも意外とご存じないかたがいるのですが、Wi-Fi環境だとフィルタリングが効かないケースがあります。

母

渡辺さん:それは聞いたことがあります。うちは、そこは大丈夫なはずなんだけど。

先生

石田先生:フィルタリングのタイプやスマホの機種、家庭内でのWi-Fi環境などにもよるみたいですが。とにかく、子どもたちのデジタル知識は大人の想像をはるかに超えていますから。

母

渡辺さん:そうなんです。私にはよくわからない裏ワザを次々に繰り出してくる。

先生

石田先生:そういうことを教えるサイトがたくさんあるし、友達同士の情報交換もすごいです。フィルタリングをかけて安心している親は、子どもから見たら勝手に安心してくれてラッキー!という存在かもしれません。

母

渡辺さん:ショップの人の説明を聞いて、安心していたのに。

先生

石田先生:中学生ぐらいになったら、デジタル知識は子どもにかなわないと思っていたほうがいい。次から次へと解除の方法を見つけて、いたちごっこになります。

母

渡辺さん:勝負にならないわけですね。

先生

石田先生:なりません。注意深く使ってくださいと言うにとどめておきましょう。フィルタリングがあるから安心、とは思わないほうがいいということです。

学校支給のタブレットは親がいるリビングで使わせる

母

渡辺さん:実はもうひとつ困っていることがあって。学校から支給されたタブレットの使い方があやしさ満点なんです。

先生

石田先生:コロナ禍でタブレット支給が本格化しましたね。

母

渡辺さん:全国一斉休校とか、いろいろ大変だったじゃないですか。混乱の中であわただしくタブレットが渡されて、なんとなくオンライン授業が始まって……。

先生

石田先生:ところがお子さんはそれでチャットをやる。動画を見る。「学校の連絡網だから」と言って夜遅くまでいじっている。

母

渡辺さん:そうです!そうです! 学校支給のものだから制限もかけられない。

先生

石田先生:これはね、本来は学校の責任でやることなんですよ。だけど初めてのケースで対応できていない。好き放題を放っておけないから、しかたなく家庭でなんとかしようとしている。

母

渡辺さん:学校がもう少し指導してくれればいいんですけど。

先生

石田先生:今困っている親御さんに、学校が対応できるようになるまで待ちなさいとは言えません。だから対処を考えるけれど、本来は学校の問題であるというのが大前提です。

母

渡辺さん:個人で持っているスマホとは違うということ?

先生

石田先生:学校は、遊びで使うためにタブレットを渡しているのではありません。スマホにはゲームとかSNSとか、個人の遊びの要素がある。用途がまったく違います。そこを使い分けられなくて親御さんが不安なら、学校支給のものでも使い方のルールを決めなきゃならないと思います。

母

渡辺さん:やっぱりルール決めが必要なんですね。

先生

石田先生:それ以外に方法はないです。学校支給のタブレットは、学校関連の連絡や勉強以外に使ってはいけない。それがルールの柱になると思います。

母

渡辺さん:でも、「これは学校関係のことだから」って子どもは言いますよ。

先生

石田先生:そこはいったん受け入れる。「ウソでしょ!」と決めつければ子どもは反発するだけです。

母

渡辺さん:ウソだと思いますけどね(笑)。

先生

石田先生:ルールはタブレットの使用を学校関連に限る内容になるはずですから、「学校以外の用途に使うとしたらどんな場合? 学校以外のことに使ったらどうする?」と、まず子どもに聞いてみてください。想定できるケースを言わせて、それを全部記録に残しておく。そうすると一定の抑止力にはなると思います。

母

渡辺さん:多少は効果があるのかなぁ。

先生

石田先生:学校支給のタブレットは、親がいるリビングで使うルールにしているご家庭もありますよ。学校関連のことなんだから、親の目があるところで使う。

母

渡辺さん:あ、それはいいかもしれません。

先生

石田先生:オロオロしている親や学校を尻目に、子どもたちは好き勝手やっているわけです。だから、こういう問題が起きていますと、学校にも伝えたほうがいいかもしれません。

母

渡辺さん:先生もまだよくわかっていないですからね。

先生

石田先生:家庭で抱え込まないで、学校の問題ですよという投げかけも大事だと思います。

母

渡辺さん:保護者会で話題にするとか。

先生

石田先生:そうそう。学校にクレームを入れるわけじゃない。子どものために、タブレットのよりよい使い方を親と学校とで探っていこうということです。

フィルタリングが役立たない の結論
●「フィルタリングをかければ安心」ではない。脇が甘いことを自覚しよう
●デジタル知識は子どもが上。勝負をしても勝ち目はない
●学校支給のタブレットにも使い方のルールを設定する
●親と学校とでタブレットの適切な使い方を考えていく

<第4回に続く>

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