『会社をやめてもいいですか?』脱・会社員という選択をしたリアルな女性の体験談

ビジネス

2018/2/24

『会社をやめてもいいですか?』(杉本透子/セブン&アイ出版)

 仕事のため、子育てのために何かを犠牲にすることは当然でしょうか?

 女性が人生を通して働くことを考えたとき、安心して「出産」を迎えることができない今の日本。社会制度や一部を除く会社の制度、社会の理解もまだまだ不十分で、出産前とまったく同じように働くことは難しいのが現状です。

 産休終了までに子どもを認可保育園に入れられず、退職や雇用形態の変更を余儀なくされ、働くことを選択しても、認可外保育園の高い保育料の支払いで手もとに給料がほとんど残らないという悩みを抱えるワーキングママも増えています。

 仕事のため、子育てのために何かを“犠牲”にすることは、“みんなが我慢している当たり前のこと”として見過ごされ、対策は後回しにされているように思います。もっと、自分が大切にしたいことをきちんと大切にできる働き方、生き方を選べないものでしょうか。

■経験者に聞きたい「会社をやめてもいいですか?」

『会社をやめてもいいですか?』(杉本透子/セブン&アイ出版)では、「会社員」という立場を手放した8人の女性の、会社をやめるまでの葛藤からやめた後の暮らしぶりまでを取材。「本当に会社をやめて暮らしていけるのか? 幸せに生きられるのか?」という不安な気持ちから出た、著者でライターの杉本さんの問いかけをそのまま付けたというタイトルが印象的です。

“主婦のプロ”になったひぐまあさこさん、会社員から専業主婦を経てクローゼットオーガナイザーになった林智子さん、フリーランスライターだったからこそ家族のピンチを切り抜けられた清水暢子さん、安定した会社をやめて大学院の博士課程に挑戦した堀内ふみ野さんほか、脱・会社員をした人たちのリアルな人生が綴られています。

 小学生の娘を持ち、フリーランスのクローゼットオーガナイザーとして活躍する林智子さん。ファッションコーディネートやライフスタイルに合ったクローゼットの収納方法などを提案。出産を機に前職を退職し一度専業主婦になったものの、ライフオーガナイザー鈴木尚子さんのコンサルティングを受けたことをきっかけに資格を取得し、現在の道に。

「働く」と一言でいっても、主婦、研究員、自営業など形はさまざま。それぞれに事情を抱え、大切にしたいことも違っていますが、彼女たちに共通していることがありました。

・自分の選択に誇りを持ち、イキイキと人生を楽しんでいる
・自分の心としっかりと向き合い、「幸せ」が何かをよく知っている

 彼女たちが会社をやめても幸せなのは、誰かが作った「成功」や「幸せ」の固定観念にとらわれず、自分の心にきちんと向き合い、自分だけの幸せを見つめているから。会社員という安定した形でなくても、自分にとっての「幸せ」を見失わなければ、社会の「こうあるべき」という価値観に翻弄されず、しっかりと地に足をつけて人生を歩んでいけるのです。

■「働く=安定した会社員」という価値観からの脱却

 安部政権のもとで「働き方改革」が声高に叫ばれ、多少風向きが変わってきたとはいえ、今まさに雇用や子育てなどの問題に直面している女性たちは、社会が変わるのを悠長に待ってはいられません。

 在宅で仕事ができて、会社に縛られないフリーランスやリモートワークが、“自分らしい生き方”ができる働き方として注目される一方で、現実は「会社をやめても大丈夫?」という不安が拭えず、「私には難しい」と考える人が多いのではないでしょうか。

 本書は、脱・会社員をした女性たちのリアルな体験談を紹介することで“会社員でいることによって得られる安定”だけではない幸せを教えてくれます。選択肢を広げて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

文=箕浦 梢