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黄金列車

黄金列車

黄金列車

作家
佐藤亜紀
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-10-31
ISBN
9784041086315
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黄金列車 / 感想・レビュー

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紅はこべ

佐藤亜紀さんの読者は西洋史全般の知識を持っていることを要求されるな。文官だから、引き渡すには書類を整えて、責任者名も明記してと要求する。日本の現政権、前政権の官僚や政治家どもに爪の垢を煎じて飲ませたいね。ユダヤ人の没収財産を運んでいることについてはバログ以外は罪悪感とかなさそうだけど。クレックナーが従来抱いていたSSのイメージとだいぶ違っていた。

2020/10/06

ちゃちゃ

それは“黄金”列車なのだろうか。第二次世界大戦末期、ユダヤ人から没収した財宝を国有財産として積載した、ブタペシュト発の列車。史実に基づいたフィクションだが、作者の硬質な筆は説明をきらい、事実の描写に徹する。カットを多用した映画のように、壮絶な現在と無残に奪われた過去が交錯する。銀の燭台や切手帳の、心憎いまでの巧みな使い方。物語後半、封印されていた主人公バログの痛切な思いが像を結ぶ。苦難の末のラストで作者は一冊の切手帳に託して問うのだ、守り抜くべきかけがえの無いものとは“黄金”ではなかったのではないか、と。

2020/05/16

のぶ

第二次世界大戦に関して書かれた文学は多いが、この本もその一面を描いた作品だった。大戦の末期、ハンガリー大蔵省の役人のバログは、敵軍迫る首都から国有財産の退避を命じられ、政府がユダヤ人から没収した財産を積んだ「黄金列車」と呼ばれる列車に携わることになる。ストーリーの流れは没収資産を列車に乗せて運搬する話。その中にかつてバログが親交を結んだユダヤ人の友人たちの思い出が挿入される。暗く重い雰囲気が漂う中、バログの行なった行為が胸に迫ってくる。戦争文学の名作と呼んでもいい一冊だと思う。

2019/11/26

buchipanda3

第二次世界大戦の歴史の影の一片を切り取って描かれた長編小説。戦争という非常な事態の渦中にいる者たちが見せる人間の機微に通じた味わい深いドラマをじわじわじっくりと堪能した。劇的な展開があるわけではなく、正義を振りかざすわけではなく、ただそこに生きている人間として、バログたち役人のおっさんらが見せる意地、ささやかだが気の入った反抗を果たす姿が痛快であり、痺れた。その裏には非道な使命に従う役人の悲哀、その荷物の重み、悔しさ憤りが密かに充満している。それらが一文一文から滲み出てくるのを感じた。表紙も渋くていい。

2019/11/09

ずきん

ユダヤ人の没収資産を首都から退避させよ。葛藤を抱えながら『黄金列車』に乗り込んだ文官たち。事務屋の矜持と掠め盗ろうと群がる有象無象どもが、真っ向からぶつかり合いながら、物語も列車もスリリングに走っていく。『スウィングしなけりゃ~』の軽快で挑むような語りから一転、ぶつ切りのハードボイルド文体にがっしりと掴まれ、展開のスリルと構成の妙に、揺さぶられる。のめりこむ。素晴らしい物語に出逢う度に世界には怪物がいるなあと思うけれど、日本には佐藤亜紀がいる。今年はこれを上回る出逢いを求めて読書を続けることになるだろうな

2020/02/09

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