天使・雲雀 (角川文庫)
天使・雲雀 (角川文庫) / 感想・レビュー
鳩羽
飲んだくれのバイオリン弾きに育てられていたジェルジュは、他人の感覚を読んだり干渉したりする能力を持っていた。やがて顧問官と呼ばれる男に引き取られ、教育を授けられて、さらに能力を開花させていく。第一次世界大戦前のオーストリアで工作員のような仕事をしながら、誰のための、何のための仕事なのか分からないまま、ジェルジュは任務に翻弄されていく。…特殊な能力、環境にある主人公だが、成長や反発、出生が明らかになるところや、束の間の友情、女関係など、エピソードには王道感があって、重苦しい雰囲気ながらも楽しめた。
2020/10/13
本とフルート
「スイングしなけりゃ意味がない」に続き、佐藤亜紀さんの作品は2冊目。歴史的な背景を生かして切って、描き出された世界に没頭した。戦闘場面の迫力に、息づく人々との出会い、そしてもちろん筋書きもまた、夢中にさせてくれる。同じ第一次世界大戦を描いた作品でも、作者によって全く視点が異なることが興味深い。
2021/01/10
etoman
WWIのウィーンを舞台に、頭の中を覗き見たり直接操作したりという異能者達の活躍を描いた異世界小説。人の意識に入り込んだり、それを防ぐがために意識を閉ざしたりする様々な情景描写がリアルな感じで面白いし、WWIの時代の風俗文化の描写、史実の裏側の情報戦、異能の力を持つ若者のビルドゥングスロマンなど本書にはいろんな楽しみ方がある。
2020/11/20
ナンさん
実際の歴史に巧みに織り込まれた架空の登場人物達と超能力バトルは読者を作品世界へ深くのめり込ませて行く。
2020/10/23
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