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秋田さんの卵

秋田さんの卵

秋田さんの卵

作家
伊藤たかみ
出版社
講談社
発売日
2012-03-09
ISBN
9784062174268
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ジャンル

秋田さんの卵 / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

芥川賞作家「伊藤たかみ」さん作品もアッという間に、気がつけば14作品目になりました。ハマるトキはハマるもので、過去「瀬尾まいこ」さんは「原田マハ」さん、「乙一」さんなどがそうでしたが、ここまで一気に多くの作品を読み続けた作家さんも自分の読書キャリアの中では稀な位置づけになります。本作は2編からなる短編集ですが、やはり表題作はモロに「伊藤たかみ」さんワールドかなと。入院している患者さん達からみる「生と死」をシリアスに、時にはコミカルに淡々と思いを綴っている作風は、ジワリジワリとココロにくるものがありました。

2016/02/11

じいじ

伊藤たかみのしみじみとした小説は、時たま読みたくなります。長らく温めていた今作は、中編小説二作を収録。表題作の主人公は、K病院の或る病室に付添婦として来る秋田さん。その秋田さんは、化粧っ気のないもち肌の熟女。入院患者の木戸は、同室の患者と秋田さんの噂話をするのが唯一の愉しみ。昨年は6回も入退院を繰り返して私は、ここに登場する入院患者の退屈な気持ちがよく理解できます。9時に強制消灯されても、すぐには寝つけない夜があることも…。とかく昏い気持ちに陥る病院の情景が、心に沁みる物語です。

2020/08/29

chimako

伊藤たかみは『ミカ!』が好きだった。『ミカ×ミカ!』も好きだった。芥川賞後はきっと本当に書きたかったものなのかもしれないけど、良くわからなくて遠ざかった。今回とても久しぶりに読んだ中編二編。ダメだダメだと思いながら、ダメな方向に流れていくのを止められない。家族の待つ家から遠ざかる。まっすぐ帰れない。そんな面倒な男の話と入院中の男とその病院の付き添い婦の交流の話。人の生き死にを淀んだ空気感で描く。生きることの何たるかは古来から多くの人間が著してきた。伊藤たかみの「生きる」は緩くて少し淋しい。

2020/12/20

hit4papa

「ボギー、愛しているか」は、妻としっくりいかない男が、亡き同級生の思い出に浸るお話し。妻に気持ちがありながら、彼女の過ち?がよみがえるのか、会話がままならず、こっそり彼女のブログにコメントを残す日々。この情けなさに、心穏やかではなくなります。中年クライシスな日常の一コマに共感。タイトル作は、入院患者の主人公と、何故か惹かれる中年ヘルパーとの、交流が描かれた作品。患者たちから浮かび上がる病院での日々は、不謹慎ながら楽しい。タイトルから想像するようなほっこり感はありませんが、そこはかとない淋しさが良いです。

2023/06/08

いっち

『ボギー、愛しているか』について。ボギーとは、主人公の学生時代の友人で、左手の中指と薬指がなかった。ボギーは19歳のとき、売春島に打ち上げられた。溺死だった。なぜ溺死したのかは、わからない。ボギーは、一人の女性を愛し続けた。ボギーの愛した女性は誰とでも寝る女性だった。しかしボギーは相手にしてもらえなかった。主人公は、不倫していた妻と暮らしていた。温泉旅行に行くことになっていた。旅行を放り出して、主人公は、友人とボギーの供養に行く。どうしてボギーは誰とでも寝る女性を愛し続けたのだろう。なぜ溺死したのだろう。

2022/05/01

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