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地鳴き、小鳥みたいな

地鳴き、小鳥みたいな

地鳴き、小鳥みたいな

作家
保坂和志
出版社
講談社
発売日
2016-10-27
ISBN
9784062202879
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地鳴き、小鳥みたいな / 感想・レビュー

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じょんじょん

読み始めると、すんなりはいってこない文章に戸惑う。難解なと思った。この違和感は昔感じたことが、そう樋口一葉の「たけくらべ」を読んだときだ。読点でつながれた長い文章は、句点というショートゴールが見えない。ストーリーがイメージできないままに、2編目のタイトル作品に読み進むとさらに困惑。そこで文脈の理解を放棄、気の置けない人とのおしゃべり(会話ではない)で、頭にうかんだことを思いつくまま口にする、そんな状況を想像し、作者のおしゃべりに相槌をうっていると3編目はするすると頭にはいり出ていった。キースもサザンも好き

2016/12/06

しゅん

「エロスはそのまま死で、幼児の私にとって死はすこしは知っているがエロスは知らない、その二つは同じものとして心で反応した、幼稚園の子どもの知ってる死というのはどういうものなのか、死は何度でも起こることなのか、一回限りのことなのか」。エッセイと小説の区分けが全く意味をなさない四作を収録したこの短編集には、不思議と性の匂いがする。更に不思議なのは、性と古い記憶が結びついていること。だから、例えばサザンの歌について書いている箇所にも危うい性の匂いが漂う。読んでてやたらドキドキした。

2017/04/30

フリウリ

「あなたが拠り所と思っているところこそがあなたを裏切るのです。」(p136) 「地鳴き〜」は「女性」が出てきて、おやっと思い、「キース・リチャーズはすごい」でのデレク・ベイリーのくだりは、句読点のあいまいな文章はフリージャズの作法かな、と思い(ベイリーで猫が神経質になるのはおもしろい)、同時に、ちくま文庫版、井上訳の「失われた時を求めて」の文体を想起しました。小島信夫の名前が何度か出てきます。「私はキース・リチャーズがはじめてやってみせた。」(p148) 8

2023/12/12

pohcho

エッセイのような小説四編。日々の出来事と、とりとめのない思いが延々と書き連ねられている。ぼんやりと考えているようなことをすべて文章にしてしまうところが、いつもながらすごい。語り手=ホサカ自身だと思っていたら、浮気相手と旅行に行く話が出てきてドキッとしたけど、ここは創作だよね?「珈琲のことば」は読んでみたい。

2016/12/21

勝浩1958

考えたことを原稿に書いているというより頭に浮かんだことをそのまま原稿に書いている印象を得ました。話はどんどん脇道に逸れてすごく遠回りをしながら最後は落ち着くところに落ち着くといった感じです。保坂氏のお気に入りのデレク・ベイリーをYouTubeで聴いてみましたが私には不向きでした。保坂氏はジャズではフリージャズでおそらくメロディーが印象的なものよりジャズに明るくないひとが聴いたなら雑音にしか聴こえないものを好まれるのですね。まあ、保坂氏の文章もだんだんそのような雰囲気を醸し出してきました、でも好きですよ。

2017/02/19

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