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カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)

カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)

カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)

作家
室橋裕和
出版社
集英社
発売日
2024-03-15
ISBN
9784087213089
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『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(室橋裕和/集英社)

5000軒にまで急増したウラ事情  コックが独立開業してオーナーになり、母国から新しくコックを呼び、そのコックも独立し……という暖簾分け的なシステムのもとに「インネパ」が広がっていった経緯を見てきたが、ここまで爆発的に増殖した理由はほかにもある。そのひとつが「コックのブローカー化」だ。 「外国人が会社をつくるには500万円の出資が必要じゃないですか。ネパール人にはすごく大きなお金です。家族や親戚や銀行から借りる人もいますが、中には誰かに出させる人もいるんです」  こう語るのは、自らも都内でカレー屋を営むネパール人Rさん。この500万円を何人かのネパール人に分割して支払ってもらうのだという。 「たとえば、新しい店で3人のコックを雇うとします。この人たちはネパールでスカウトしてつれてくるんです。日本で働ける、稼げると言って」  そしてビザ代や渡航費、手数料などの名目で代金を請求する。仮に1人アタマ150万円を出してもらえば計450万円で、オーナー本人の出費は50万円で済む。日本行きの…

2024/5/1

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チラシ配りや定番メニューには意味が? 入管審査のための「安全運転」/カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」④

『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(室橋裕和/集英社)

入管はチラシ配りもチェックしている? 「インネパ」といえば居抜きの店が多い。もともとラーメン屋だったんだろうな……なんて丸わかりのカウンターがあったり、居酒屋の雰囲気が残っていたりする。あらかじめ調理設備が整っていれば安く上がるから居抜きを選ぶネパール人が多いのだが、それでも内装工事にはけっこうお金がかかる。 「自分の好みでどれだけお金をかけるかだけど、居抜きの場合は500万円くらいかな。イチからだとその倍はかかりますね」  と岐阜県で「サティ」を営むセレスタ・ハリさんは言う。こちらのお店はインドやネパール、ベトナムなどの食材を売るブースも併設されていて、席数36(うち座敷席8)という規模の店だ。こちらも、もともとはネパール人のカレー屋だったが、そこを居抜きで使っている。開業はコロナ禍がはじまったばかりの2020年。 「前はコックだったんですが、働いてた店がコロナで売り上げ落ちちゃって。仕事も減ったんですね。別の仕事も探したんですが、なかなか見つからなくて。国に帰るか、日本で自分…

2024/4/30

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カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

通勤路の途中にあるインド料理店に、ネパール国旗が掲げられている理由が納得できた。貧困から抜け出せないネパールでは海外出稼ぎが主要産業であり、ビザの取りやすい日本でカレー店を開くのも同じなわけだ。ロシア軍の傭兵としてウクライナで戦うよりもマシだろうが、当然そこには成功者と失敗者が生まれた。家族の教育で苦労し、搾取したりされたり、入管の取り締まりに怯えながら必死で稼いでいる。出稼ぎ者の多い土地では日本語が通じるなど、世界の発展から取り残された国の悲哀が浮かび上がる。久しぶりに硬派のノンフィクションを堪能した。

2024/04/29

はっせー

カレーが好きな人におすすめしたい本になっている!今回のテーマは「インネパ」。「インネパ」とはなんぞや?と思う方もいるだろう。インネパとはインド料理店を営むネパール人のことをさす。確かに最近インド料理店が増えてきてその多くがネパール人がやっているだろう。ネパールの国旗 ヒマラヤの写真 リーズナブルなランチとナン食べ放題などなど。そんなインネパがなぜ日本でこんなに多く広がったのかなどをまとめたのが本書になっている。意外な発見が多すぎて面白かった!読み終わるとカレーが食べたくなる!

2024/05/01

よっち

いまや日本のいたるところで見かけるようになった格安インドカレー店。実はそのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。どの店もコピペのように同じメニューが並ぶ、「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか。その源流となった店を辿る一方で、バブル期に多かったネパール人の不法就労とコックの技能ピザ、仲介ビジネスの存在もあって、日本国内に5000店もあればやはり上手く行くケースばかりではなさそうで、出稼ぎ国家ネパールのお国事情も伺えました。

2024/04/26

道楽モン

指摘されて見回すと本当にネパール人によるインドカレーの店ばかりだ。私の行きつけの店も、勤務地の半径1km以内にある5件のカレー屋たちも、すべてが「インネパ」であり、微妙な差異はあれどメニューは相似形かつ日本人好みに絶妙に調整してある。なんかネパールの方々が多いなぁ、ビザ乱発したという噂もあるなぁ、行きつけ店のオーナーは祖国に家2軒と別荘があり、孤児を養子にしていると言ってたなぁ、などの曖昧な情報に対する解答は本書にバッチリ記載されていてる。日本におけるインネパは、すでに完成されたビジネスモデルなのだった。

2024/03/27

しゅー

★★★高野秀行の推薦コメントにひかれて書店に急ぐ。「チコちゃん」で「なんで日本のインドカレーにはナンがついてくるの?」という回があった。あれはナンを焼く窯を製造する日本人の話だったが、本書はそれを発注する側の物語である。そもそも何でインドカレー屋で働くのはネパール人ばかりなのか。そのネパール人は何でこぞって先行する店のテンプレ(カレーとナン)を真似たのか。その謎解きはミステリのようだし「カレー屋の子供」の問題では日本の入管制度に鋭く切り込んでいく。「移民」を送り出す地域への取材までおこなった骨太な一冊だ。

2024/04/27

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