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北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本

北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本

北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本

作家
室橋裕和
出版社
新潮社
発売日
2023-03-17
ISBN
9784103549819
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「北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本」のおすすめレビュー

ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、室橋裕和『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年6月号からの転載になります。

『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』

●あらすじ● 群馬県高崎市から始まり、北関東を横断し太平洋に至る国道354号線。この沿線にはパキスタンやブラジル、タイなどさまざまな外国人コミュニティが多く存在する。そんな「エスニック国道」を進む中で出会ったのは、明るく逞しい住民に、彼らの作る美味しい異国飯。しかし、彼らと話すうちに、技能実習生の待遇や難民問題など、彼らを悩ませる日本の課題も少しずつ見えてきて――。

むろはし・ひろかず●1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地の日本語情報誌に在籍し、10年にわたりタイや近隣諸国などを取材。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。著書に『ルポ新大久保』(辰巳出版)、『日本の異国』(晶文社)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)など。

室橋裕和新潮社 1760円(税込) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

いま、会いに行きたくなるノンフィクション 人やモノが、あの街道を行き来する。その匂いが…

2023/5/6

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北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

無責任で行き当たりばったりな日本の移民政策が、国道354線沿線の北関東の田舎にエスニックな異世界を生んだ。水が低きに流れるように、人は金の高きに流れる。言葉も肌の色も宗教も違う人びとが本国より高い賃金を求めて合法非合法に定住し、日本人が嫌う工場や農業で働いている現実。当然そこには家族もできて、日本風にアレンジされない現地そのものの食事や風俗が生まれる。人口の一割が外国人の常総市など、もはや東京より国際化の最前線だ。ここで彼らの料理を食べ、隣人として暮らすという日本の未来を占う壮大な社会実験が進行している。

2023/06/13

アキ

北関東にはパキスタン人をはじめイスラム系の労働者が多い。伊勢崎モスク、境町のシク教の寺院など多国籍のコミュニティが国道354号線沿いにあり、各国のエスニック料理店が本格的な味を提供している。栃木県小山のガチのパキスタン料理、茨城県古河市の本格的な南インド料理、群馬県館林市のロヒンギャ料理、群馬県大泉町のブラジル料理、伊勢崎のペルー料理など数多くあり、その背景には日本人が敬遠する製造業、農業、介護の現場の人手不足を外国人労働者で賄ってきた戦後からの歴史が見えてくる。北関東は今後の日本の姿なのかもしれません。

2023/06/04

おかむら

群馬の高崎から茨城の太平洋側までの200キロをつなぐ国道354線、その沿線に暮らす外国人コミュニティを訪ね歩くルポ。伊勢崎太田館林小山古河境坂東常総土浦鉾田。茨城の方に行くにつれ知らない地名が増えていくわ…。副題は「絶品メシとリアル日本」ですが、読んでいくとグルメよりも日本のお粗末な移民行政の歴史に翻弄されたりしたたかに立ち回る外国人たちの姿に、ああ全然知らなかったーとなりました。それにしても常総の亀仙人街っていうネーミングはインパクトあんな!

2023/09/13

Mc6ρ助

『本音の部分ではバブルの好景気の中で日本人が「3K(きつい、汚い、危険)」と蔑むようになった肉体労働の現場で働く人々を求めてのことだった。こうしてペルーやブラジルなど、南米に渡っていった日系移民の子孫が、出稼ぎ労働者として再び日本の地に舞い戻ってくることになる。 とりわけ自動車産業をはじめとする製造業がさかんな愛知県と群馬県に、おおぜいの日系人が移り住んでいく。(p29)』失われた30年の始まり・・、ついには外国人労働者(彼らに乾杯!)にさえ安すぎる貧乏日本が到来しつつある、観光日本って正解なのか?

2023/10/16

遊々亭おさる

高崎を始点として太平洋まで伸びる国道354号線沿いは東南アジアや南アジア、そして南米の文化と日本の文化が混じり合う場所。巨大な工業団地から下請け孫請けの工場や北関東の農作物を作る農家には、少子化の影響や3K仕事を嫌う日本人の代わりに多くの外国人が就労し、自国の文化を定着させて生活を営んでいる。彼ら彼女らの力なくしては日本人の生活は成り立たない。日本人と外国人が反目しあった歴史を重ねながら協調への道を探る街は未来の日本を作る道になるか。外国人労働者に厳しい会社は、日本人労働者にも厳しい。生きるために連帯を。

2024/01/25

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