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その扉をたたく音 (集英社文庫)

その扉をたたく音 (集英社文庫)

その扉をたたく音 (集英社文庫)

作家
瀬尾まいこ
出版社
集英社
発売日
2023-11-17
ISBN
9784087445862
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「その扉をたたく音 (集英社文庫)」のおすすめレビュー

【大反響】「さすが瀬尾まいこ」…人生に迷う青年と老人ホームの大人たちの奏でる感動作を、読書家たちはどう読んだ?

『その扉をたたく音』(瀬尾まい子/集英社文庫)

 日常を変える音がする。自分を今いる場所から引っ張り出してくれるような音が。そんな音が聞こえてくる本——それが『その扉をたたく音』(集英社文庫)。2019年に『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)で本屋大賞を受賞した瀬尾まい子さんによるこの新たな感動作に、今、多くの読書家たちが大きく癒され、そして、勇気づけられているらしい。

 物語の主人公は、29歳、無職の宮路。実家から毎月ふりこまれる20万円の仕送りで生活する彼は、ギターを片手に音楽の夢を追い続けているが、何をしているかというと、特に何もしていない。デビューの当てがあるわけでもなく、だからといって何か行動を起こすわけでもなく、ただ毎日、怠惰な日々を過ごしていた。だが、ある時、利用者向けの余興に訪れた老人ホーム「そよかぜ荘」が彼の日常を変えていく。宮路はそこで、神がかったサックスの演奏を耳にした。演奏していたのは、介護士の渡部。もう一度その演奏が聴きたいがために、宮路は足しげくその老人ホームに通うことになり、そして、やがて入居者とも親しくなっていく。…

2023/11/17

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その扉をたたく音 (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

mae.dat

『あと少し、もう少し』のスピンオフ第2弾。派生元作品を読んでおいた方が楽しめる部分もありますが、マスト条件では無さそうです。ほら儂、登場人物を名前で無く、行動や口調、雰囲気で判別するので。出だしのノリで、バスケやってたジローが主役かなって思った。でも何か違和感があるよねー。って思ったら、準主役の渡部くんの方かーい。主役の宮路くんは音楽の夢を捨て切られずぐだぐだしてしまった系の方。埋もれた天才サックス奏者を見つけてしまい、物語が始まるのですけど。ラストでも違う天才を見出して。その審美眼はどっちなんだろうね。

2023/12/06

あすなろ

体が水を欲する位の勢いであの音を聴きたい。そんなサックスの音が開幕の音となった彼の独り立ちの物語。音楽と介護施設における触れ合いが彼を変えていく。純粋に爽やかでいい小説だと思った。僕から見れば甘ったれるなとは言ってしまうのだが。しかし、どんな青年も何らかの方法で大人になる。そんな過程が中編小説として綺麗に読み易く流れていて読んでいて気持ち良い一冊。

2023/12/16

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

(2023-151)人の出会いというものは面白いものである。ミュージシャンになるという夢もいつのまにか消え、無職のまま無為に暮らす宮路が「神」とも言える音と出会えたのはボランティア訪問先の老人ホーム。彼を「ぼんくら」呼ばわりする口の悪い水木の婆さんの「息子」になったり、介護士である渡部のサックスとのホームでのセッション。宮路は根はいい奴なんだろうけど、いい歳していつまでもフラフラとして「しっかりしろ!」と怒鳴りつけてやりたくもなるが、目が覚めたかな。最後の水木の婆さんの手紙にはグッときた。★★★★

2023/12/16

ふう

重いテーマを扱いながらも表現が温かく穏やかで、心地よい作品でした。ミュージシャンとして生きていきたいと願っている宮部。その思いは純粋だけど、多分そこまでの才能は無いのかもしれません。でも、彼が介護士渡部のサックスを聴いて感動したとき、本当に音楽が好きなのだなと思いました。そして素直だなあと。その素直さがきっと渡部にもホームの入居者たちにも伝わったのでしょう。彼らとの関わりの中で交された言葉や思いが、すべての人の胸の扉をたたきます。「ぼくを一人で葬儀場に行かせないでください」渡部にも友だちができてよかった。

2024/03/27

Kazuko Ohta

はたして瀬尾さんは朝ドラ『ブギウギ』のヒットを見越して本作をお書きになっていたのか。主人公の宮路は全くもってアカン奴。29歳無職で資産家の親のスネを齧り、「仕事がカネのためならば、俺は働く必要がない」などとのたまう。老人ホームで働く渡部のサックスに魅了されたのはいいとして、自分だけの都合で渡部を振り回そうとします。だけどまるで振り回されない渡部が凄くイイ。宮路のことが好きになれずに読むのをやめたくなるところ、瀬尾さんだもの、最後はちょっといい奴になって泣かされることが目に見えている。私の心も揺さぶられる。

2024/01/01

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