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希望病棟 (小学館文庫 か 46-2)

希望病棟 (小学館文庫 か 46-2)

希望病棟 (小学館文庫 か 46-2)

作家
垣谷美雨
出版社
小学館
発売日
2020-11-06
ISBN
9784094068368
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希望病棟 (小学館文庫 か 46-2) / 感想・レビュー

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さてさて

『もう一度人生をやり直せたらいいのになあ』。心の中の声を聞くことのできる『不思議な聴診器』が二人の末期癌患者の『やり直し』の人生の中で主人公・摩周湖に様々な声を届ける役割を果たしていく様を見るこの作品。そこには、一歩を踏み出せなかった貴子が力強く前に進んでいく姿が描かれていました。『不思議な聴診器』によって自身の中に医師としての確かな自信を得て力強く歩み出す摩周湖の姿が強く印象に残るこの作品。前作『後悔病棟』とは全く異なる読み味の中に、『貧困問題』に真正面から向き合う垣谷さんの強い思いを感じた作品でした。

2022/07/04

のっち♬

聴診器がルミ子の後輩摩周湖の手に渡った『後悔病棟』の続編。今回は癌の寛解をきっかけとする実際の生き直し。ファンタジー要素は大幅に減退し、続編にする必然性はあまりない。密度もやや不足気味。性風俗で働かざるを得ない女性の無戸籍者や孤児が陥る貧困をテーマに扱い、背景に議員や役所職員や教師らに代表される社会の問題意識の欠如を浮かび上がらせる。風俗業に比べて就学支援が綿密に掘り下げている点を見るに、社会の「闇」は「片隅」に比べて著者の手に余るようだ。早急に大人にならざるを得ない子供たちの自立は周囲のサポートが必要。

2022/04/17

machi☺︎︎゛

「後悔病棟」でルミ子先生が使った患者の心の声が聞こえる聴診器は摩周湖先生の元へ。今回の患者は児童養護施設で育った桜子と代議士の妻の貴子の二人。二人が色々な事から解放されて自分の道を歩んでいく姿は同じ女性として心強かったけど、あまりにも話が上手くいきすぎてそんなバカな。と何回もツッこんだ。こんな聴診器があると便利だけど実際に使われるのは勘弁してほしい。

2021/05/31

Yunemo

前作ifでは末期がん患者の生きた証を捉えた作品だったかな、と記憶を辿って。本作は桜子、貴子という2名の末期がん患者ではあるものの、治験の成功によって回復し、ある意味、やり直しはできるもの、との希望が心地よさを感じさせてくれて。これを取りなすのが空気を読めないと評判の主治医摩周湖先生、3者3様の心の奥底の人間不信、無力感、自信のなさが、生き直しの時間が与えられたことによって、改めて人生に必要な知恵と勇気を身につけていく、ここの仄々感が何とも言えずに胸に響いて読了です。ただ、人の奥底を垣間見るってどんなもん。

2021/01/03

とろとろ

この話は前作「後悔病棟」があり、その中でも「しゃべる聴診器」が出てくるようだ。これはその続きで、この聴診器がやはり話の鍵を握る。しかし、病の末期癌患者があっという間に治ってしまうのが不思議というかとても大きな違和感があり、また、この題材のメインは病気よりも、若年者の貧困の解決策を探っていく内容で、しかも、その解決策が女子高生を性風俗で働かせるという選択。お店は明朗会計で派出所も近くにあって全く問題が無い、みたいな書き方だが、いくら上手くいったと結論づけても、そりゃいかんだろうと…。どうにも嫌な結末だった。

2021/01/04

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