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パンドラの匣 (新潮文庫)

パンドラの匣 (新潮文庫)

パンドラの匣 (新潮文庫)

作家
太宰治
出版社
新潮社
発売日
1973-11-01
ISBN
9784101006116
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パンドラの匣 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

自殺未遂や薬物中毒を繰り返した果てに、こんな「懸命に生きる若者」をテーマにした青春小説を書くとは。しかも戦時下の作品なのに血や硝煙や国粋思想の匂いはなく、役者修業や結核療養での苦しさも描きながらラノベ風のユーモアさえ漂う。両作とも初読時は『人間失格』と同じ作者とは思えなかったが、戦争が重くのしかかっていた時代だからこそ永遠に変わらない悩める若者の心理を描きたかったのか。だとすれば太宰は抑圧された社会でこそ安心して希望に満ちた小説を書けたが、検閲がなくなり自由を得た戦後は逆に自分を見失い破滅したのだろうか。

2021/01/18

優希

青春小説と言うのに相応しい作品でした。『正義と微笑』も『パンドラの匣』も希望や軽やかな眩しさが伺えました。澄み切った純粋さがあると思います。特に『パンドラの匣』は結核療養所という陰湿な場所を舞台にしながらも明るさを感じます。ひばりというあだ名の少年が友人に向けて書いた手紙には竹さんとマア坊の恋愛や個人的な人物についてつづられていますが、此方に向けて書かれているような気分になりました。劇的なことはないけれど、どちらの作品も青春にあふれていて面白かったです。

2016/01/07

ゴンゾウ

太宰治中期の青春小説。幼少期から多くの挫折に打ちのめされて心中未遂を引き起こすなど破滅的な青春を過ごした太宰が、恋や将来に悩むふたりの青年の姿をユーモラスに時にはシニカルにとても前向きに生々と描いている。人間失格がどうしようもない分この2作品が際立って明るく思えてしまう。 本当の太宰治はどっちなのか。

2015/02/28

タカユキ

明るい太宰治!とても元気になる読後感。熱く疾走感のある誰でも通過した青春。「正義と微笑」は10代の特徴的な根拠のない自信や何をも圧倒し凌駕する行動力が描かれている。そしてもう一つの物語である「パンドラの匣」こちらは「死」に対して、ゆっくりと時間が流れていく物語。そして甘酸っぱい。「正義と微笑」ではあがき続ける主人公であった。だがこちらでは死を、病を受け入れ、穏やかにそして少しずつ変わってゆく暮らしや連なって進む恋が描かれている。太宰の真骨頂とは、こうした情熱や終わることのない日々への抵抗ではないかと感じた

2020/03/29

Willie the Wildcat

『正義と微笑み』は、著者の少年期から青年期の苦悩や葛藤が重なる感。道化ではなく、達成感の齎す心底からの喜び。向き合い、さらけ出し、そして日々精進。努力は裏切らない。転機は、もれなく斎藤師との出会い。”ファウスト”は気合のリベンジ、ですね!批判を恐れず邪推すれば、斎藤師とは井伏氏也。一方、『パンドラの匣』は2つの喪失を背景に、2つの生死の世界に身を委ねる。形ではなく、心底に宿る自身。辿り着く解、「献身」。蔓、道の先に陽。木村氏との約束。元々のタイトルである”雲雀の声”の方が、わかりやすかったかもしれない。

2018/07/31

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