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孤独の発明 (新潮文庫)

孤独の発明 (新潮文庫)

孤独の発明 (新潮文庫)

作家
ポール・オースター
Paul Auster
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
1996-03-28
ISBN
9784102451038
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孤独の発明 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

前半「見えない人の肖像」、後半「記憶の書」の2部立の構成。文体も全く違っており、内容も前半は、主として父親をめぐる自伝的な小説、後半は思索的な考察といった趣きである。物語的には前半の方がはるかに読んでいて面白いが、著者によれば後半こそが重要ということらしい。さて、ここではオースターの父との様々な心理的葛藤と、息子から見た(死後に初めて明らかになったことも含めて)父の伝記が語られる。事実関係は不明だが、息子がかくまで父を求めるものなのかというのが正直な感想だ。そして、母はほとんど不在だとさえ言えそうなのだ。

2015/01/21

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

記憶。物語のなかから呼び起こされる子どもの頃のそれ。ただ雨にうたれたくて庭に出た日。びしょ濡れのワンピース。灰色の空はどこか明るく稲光の紫がところどころから顔を出した。夜中抜け出してみた星空のこわいような大きさ、夜桜の並木を自転車で駆けた無数の夜たち。「孤独の発明。あるいは生と死をめぐる物語。物語は終わりとともにはじまる。語れ、さもなくば死ね。語りつづけるかぎりは死なずに済むのだ。物語は死とともにはじまる。」解釈をうむという側面についての物語について。「老人は魔神の関心を事実からそらそうとするのである。→

2020/05/14

MICK KICHI

<マンスリー・オースター> 孤独を持たぬ人間はいない、孤独の存在が自我の固有の発達となる。父の死を契機に、その家庭にたいする無関心さ、自分との関係性を時系列で辿る中で発見する姿に作者の心が救われる。父親との関係性の希薄さは過去の一種悲惨な生い立ちに起因する過程の淡々とした描写に、父への愛を感じとる事ができる。この作者の自伝的物語には、似たような経験をして来た自分には心の襞を探られるような痛さを感じた。が、それは苦痛ではない。後半は記憶及び芸術作品のシンクロニシティ等の散文的考察。広範な知識に圧倒される。

2018/12/27

nobi

「見えない人間の肖像」:物にも人にも愛着を持たなかったように見えるあるいはその反動のように娘を溺愛した父。間に挟まれる祖父祖母の異様な事件簿。まれに心通う幸福の一瞬。その孤独な姿は徹底して書き留められ、熱い物語に変貌する。「記憶の書」:途中まで読みあぐねていた。が脈絡なく見えた断章の連なりは小説家自身の自問自答のよう。彼には思索は情念と切り離せない。小説と現実世界との違いを問う中から発見する意識的精神の有無。孤独の壁を打ち破る力として捉える物語。等々。その分厚い内容からこの作家の最近の書と思い込んでいた。

2018/12/08

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0  ここに今立つ私は私なのだろうか。 昨日の私と、多くの細胞が違っているのに。 明日になればもっと別の私がそこには居て。 あの日、あの人を私は受け継いだ。 それじゃあ、私はあの人ということ? いいえそれは違う。あの人はあの人で既にあの人ではなく。 私は私で既に私ではない。 だから同じであるはずがない。 そう、だからこそ私はあの人、“父”と呼ばれるあの人に多く惹かれる。

2021/01/22

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