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ジャックポット

ジャックポット

ジャックポット

作家
筒井康隆
出版社
新潮社
発売日
2021-02-17
ISBN
9784103145349
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「ジャックポット」のおすすめレビュー

筒井康隆の最後の短編集は「誤変換」だらけ? 意味のない文章によって高められた「物語性への飢餓感」の先にある快楽

『ジャックポット』(筒井康隆/新潮社)

 スロットマシーンなどには「ジャックポット」と呼ばれる大当たりがあり、それまでの敗者たちの掛け金が累積されており、ギャンブルの聖地、ラスベガスのカジノのスロットマシーンにおいては、うまくジャックポットを引き当てれば1億円を超える当たりが出るらしい。

 そんな快楽物質・エンドルフィンが脳内で激しく垂れ流されるような「大当たり」の光景を、筒井康隆は、2020年に見舞われた「コロナ」や「息子の死」と重ねて『ジャックポット』(新潮社)という最後の短編小説集で表現している。

 ただし、この短編小説集を終始読書の快楽に浸らせてくれるような作品だと思っていると、手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。この小説集はあまりに実験的過ぎる私小説集だからだ。物語としての流れよりも、語感、言葉のリズム、言葉遊び、ダジャレ、誤変換ともとれる同音異義語の濫用にまみれている。起承転結のある物語を想像して手に取った読者は、困惑し、ある場合には怒りさえ覚えてしまうかもしれない。実際、文章の頭と尻が逆転するページがあるのだが、この読みづらさには苛…

2023/10/31

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ジャックポット / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

keroppi

筒井康隆最新短編集。2017年から2021年に発表されたものが収められている。言葉の氾濫であり、言葉の乱舞である。それでいて、一編ごとに、文学や戦争やジャズや映画やコロナ禍の現実を語っている。タイトルの「ジャックポット」は「大当り」。SFを超えてしまうような現実こそ、大当りの年。そして、一人息子、筒井伸輔さんの死。昨年の2月に亡くなられていたのは知らなかった。最後を飾る「川のほとり」は、その息子との再会である。悲しみが溢れている。その事すら「ジャックポット」としてしまう筒井さんの文学性。超私小説集である。

2021/02/21

いたろう

筒井御大、約5年振りの新作の14編の短編集。80代にして、ますます絶好調、暴走老人振りを遺憾なく発揮(笑) よくまあ、こんなに次々と言葉を繰り出せるものと、大爆笑の、機関銃のように畳み掛ける言葉遊び的な言葉、パロディの嵐。そんな中、最終話の「川のほとり」は、昨年2020年に亡くなった、御大の一人息子で画家の筒井伸輔氏に夢の中で会う話で、最近「新潮」に掲載され、話題となった短編が、もう収録されている。これは涙なくして読めない。まさか、筒井御大の小説に泣かされるとは。ちなみに、この本の表紙装画が伸輔氏の作品。

2021/04/09

こばまり

気になっていた「川のほとり」でやはり落涙。あとはいずれも目を剥く舌を巻く。御年86歳の老人が書く文章ではない。ファンには周知かもしれぬが、バップ唱法など氏の創作スタイルに触れる記述に得心した。

2021/09/18

coolgang1957

ぐったり疲れた🥱学生時代はキャッキャ言うて面白がってたはずやのに、年くったかなぁ😅この人の担当変酋者いや編集者は、文章に意見とか言えるんやろか校正できるんやろか、もう心配で心配で失禁しそうです🤣それぞれの話をレビューするのはもうしんどいので2つだけ感想、〝ニューシネマ「バブルの塔」〟の最終ページにでる作者お薦めの詐欺師たちの顔ぶれは、もう絶叫するほど嬉しい😆あとを継いだからって、まだ死らないでくださいね。〝川のほとり〟そうか、大切な人がいなくなった人には夢の中に居るって言ってあげれば良いのか。

2024/03/14

ひさか

2017〜2021年に雑誌掲載された14の短編を2021年2月新潮社から刊行。筒井さんの前衛志向な言葉遊びのはちゃはちゃ世界です。パワー凄くて何よりです。さすがにこれだけ一度に読むと圧倒されてしまいます。

2021/05/04

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