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カーテンコール

カーテンコール

カーテンコール

作家
筒井康隆
出版社
新潮社
発売日
2023-11-01
ISBN
9784103145363
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「カーテンコール」のおすすめレビュー

『時をかける少女』の筒井康隆、最後の作品集。筒井作品を読んだことのない人こそ読んでほしいと思った理由

『カーテンコール』(筒井康隆/新潮社)

「引退」という言葉で一番に思い浮かぶのは、ジブリの宮崎駿監督だ。彼は1997年に製作した「もののけ姫」の会見でも、2001年の「千と千尋の神隠し」でも引退宣言をしており、また2004年の『ハウルの動く城』でも「最高の辞め時」と話していた。しかし実際には引退はせず、2023年7月に「君たちはどう生きるか」を公開したばかりだ。これが異例というのも不思議な話だが、今回の会見ではなんと引退宣言はせずに、次回作に意欲的だという。

 天才創作者の頭の中は、本当にわからない。

 そして、1993年から3年3か月の断筆宣言を実施したことのある筒井康隆もまた、引退をほのめかす発言で世間をざわつかせてきた小説家であった。2015年には『モナドの領域』(新潮社)を「最後の長編小説」として発表し「もう書くことはない」と言っている。しかし、引退はせず、2021年に『ジャックポット』という短編集を刊行し「最後の短編集」と表現しているのだ。

 そして2023年11月に発売されるのが『カーテンコール』(新潮社)だ。本人曰く「これがおそらくわが最後…

2023/11/1

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「文学界の巨匠・筒井康隆」を語る上で、欠かせない人物がいる。それは、今年の3月に亡くなったノーベル賞作家の大江健三郎さん。筒井さんがまだ無名だった頃から知り合いだったという大江さんとの親交はかなり深かった。かつて筒井さんはエッセイに「ずっと大江健三郎の時代だった」と書き(「群像」2017年9月号 講談社)、その最高傑作として『同時代ゲーム』(新潮社)を挙げている(『笑犬楼vs.偽伯爵』(筒井康隆、蓮實重彦/新潮社))。筒井さんは語る。

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「わが最後の作品集になるだろう」との言葉を聞いた時、おそらく多くの筒井康隆ファンたちは、「読まないわけにはいかない」と思うのと同時に、「そうはいっても筒井先生ならば、これからまだまだたくさんの作品を書き続けてくれるのではないか」とも思ってしまったのではないだろうか。なぜなら、巨匠・筒井康隆は、これまで何度も引退を仄めかす発言で世間をザワつかせてきた小説家だからだ。1993年から3年3か月に及んだ「断筆宣言」も衝撃的だったが、201…

2023/11/16

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カーテンコール / 感想・レビュー

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starbro

大昔から読んでいる筒井 康隆の久々の新作です。御年89歳なので、遺作❓になるのでしょうか❓ ショートショート25篇、オススメは、『花魁櫛』&『本質』&『美食禍』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/314536/ http://shokenro.jp/

2023/12/06

ねこ

筒井康隆89歳にして最後になるかもしれない25短編集。最初の1行から筒井ワールド全開。あー、そうそうこんな文体で書く作家だったと私の数少ない筒井作品を回想しながら感じました。「羆」(くま)のとことん情けない主人公の話。「手を振る娘」のちょっと不思議で切ない話が好きです。でも1番は「プレイバック」!入院中の筒井康隆のもとに筒井小説の主人公が訪れ言いたい事をどんどん言っていく。しまいにゃ鬼籍に入ったSF作家達が押し寄せて言いたい放題。小松左京や星新一、平井和正の性格がよく出てる。大御所作家の胆力は凄いと感じた

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いこ

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2024/02/21

ケンイチミズバ

最後の作品だと言いながらの確か二作目。息子さんを失い筆が折れた心の状態が分かる「川のほとり」は前回の短編でも読んだ。夢の中で会話する。父親との会話が終わったら順番なのか、母さんが来たから。というのが沁みる。青海苔県、浴衣半島、相変わらずのダジャレも。インフルで学級閉鎖、小学生の息子のいるシングルマザーの部長はやむを得ず息子を連れ出社する。が、なぜか会議の席に息子もいる。サラリーマンの無駄な会議だ。忖度したり責任を曖昧にしたり、最後はいつもの社長の鶴の一声。結論はない。息子の一言「あの人たちバカなの」(笑)

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えか

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