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トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)

作家
トマス・ピンチョン
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2010-06-30
ISBN
9784105372033
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トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection) / 感想・レビュー

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兎乃

1ヶ月弱かけて、上下巻読了。複雑なプロット、ピンチョンに翻弄されながら、数々の登場者・戯れ歌から量子力学、抜群に面白い"ちゃんこ鍋"に酔いつつ、最後、私は泣いた。ピンチョンは書かねばならなかったのだろう。二人が眼前にする「奴隷制度」。フランス啓蒙思想に学び、理性に基づいて作られたはずの亜米利加で続く苛烈な人種差別。近代を根底から考えさせるこの種の小説が書ける作家は日本にはいないような気がする。まったく余談だけど、映画『ロッキー・ザ・ファイナル』で、最後の対戦相手の名前がメイスン・ディクスンだったそうで。

2013/06/10

Ecriture

メイスン・ディクスンの測量の旅がときに苦渋に満ちていたように、読了までの道のりは容易いものではなかった(笑)途中でぶん投げる人も多いと聞くが、ぶん投げたっていいんです。訳者の柴田さんもドン・デリーロの『アンダーワールド』を途中で断念したまま読み切っていないと仰ってましたから。文学者でもそういうことはあるもんです。でもこの作品は読み進むのに苦労するほど第三部がグッと来ます。大英帝国の奴隷制を、夢の国においても連鎖させてしまう事業へ加担することを悩み抜いた二人の老いた測量士との別れは実に名残惜しいものです。

2011/09/03

若布酒まちゃひこ/びんた

というわけで、2016年の読書はピンチョンにはじまりピンチョンに終わりました

2016/12/31

ぐうぐう

茨の山を予想していた読書は、ある意味正しく、ある意味間違っていた。山は確かに険しかった。しかし、その山に生えていたのは茨ではなく、背丈ほどもあるねこじゃらしだった。肌に触れるたびに笑いを誘発するねこじゃらしを掻き分けながら、幾度も道に迷い、右往左往する読書ではあったけれど、そのひとつひとつのかゆみは、一時期的なものではなく、触れた肌にいつまでも残っていくのだ。コミカルなエピソードの中に、奴隷制度というテーマが横たわり、そこに現在へと繋がるアメリカの姿を浮かび上がらせる手法は、笑いのあとだけに尾を引く。

2010/10/18

kazi

ディクスン、抗夫上がりの霞目の若造。メイスン、都会気取りの星見人。怪しげな人物に奇妙な生物が跋扈する新大陸で、幅8マイルもの境界を設けるべく、森を山を切り開き進む。微笑、苦笑、爆笑を引き起こす数々のエピソード。亜米利加道中膝栗毛!個人的には新大陸から帰った二人が長い歳月を経て再会するエピソードが白眉かなぁ。上巻冒頭の英国博学犬のエピソードをねじ込んできたりして、こんなん絶対グッとくるわ。ディクスンが奴隷商人から鞭を取り上げてひっぱたくエピソードもよかった。時々間抜けだけど優しくて勇敢なんだよあの北東人は。

2020/05/06

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