小林秀雄全作品 20
小林秀雄全作品 20 / 感想・レビュー
Mishima
ゴッホの絵が好きだ。美しいとは言い難いにもかかわらず吸い込まれるような魔力がある。思いの丈をぶつけたように絵の具を塗りこむ。目がくらむようなうずまく線質。完成とは真逆の、いわば未完の、未完であるが故の傑作、と言ったら言い過ぎか。しかし、この本を読んでみれば、苦しみ抜いた画家の魂が画に映って見えるはずだ。人生を全うするというが、それは一体何を意味しているというのか。画家は絵に向かうことでしか生きられない。なぜなら狂気がいつも見張っているのだ。景色の描写は詩人の言葉のように美しい。言葉が絵のように立ち上がる。
2018/09/20
散歩中
絵の仕事を狂気に対する避雷針と呼び、生涯1枚しか売れなかった人。兄を援助した弟との600通以上の手紙。こういう生き方しかできなかった不幸。生きるのがどんなに苦しかったことか。30年以上積ん読していたが、意味は半分も分からず小林秀雄の熱のある文章とゴッホの火山のような制御し難い狂気を抱え精一杯生きようとした姿に揺さぶられて読了しました。非凡だが何かに憑かれた人。
2016/02/07
梨
☆☆☆☆☆身交う
2023/08/12
猫またぎ
『ゴッホの手紙』を読んだ。
2023/04/21
masanari
何を書くかを書きながら考えるという小林の文体は長編には向いてないのかも。引用が長すぎてもはやゴッホの手紙の抄訳に小林がコメントをつけるという印象。ゴッホの生涯が知りたいなら他の本の方が読みやすいし、本書はあくまで初期の評論に感激した小林ファンが読むものだろう。しかしゴッホの手紙の中にあるわずかな小林の考察は相変わらずかっこいい。「(ゴッホの絵画は)新手法が試されたのではない、同じ着想が太陽に灼かれたのである。」
2019/08/13
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