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人生について (中公文庫)

人生について (中公文庫)

人生について (中公文庫)

作家
小林秀雄
出版社
中央公論新社
発売日
2019-08-22
ISBN
9784122067660
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人生について (中公文庫) / 感想・レビュー

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momo

【中原中也の思い出】が心に残った。三角関係の後小林秀雄は中原中也の恋人を奪う。「悔恨の穴はあんまり深くて暗い」と語り、中原は「口惜しい男」というメモを残した。二人で花海棠の散るのを黙って見ている描写があるが、何を思い何を見ていたのだろう。漱石の「こころ」の先生と小林秀雄が重なった。勝者の苦しみと深い懺悔、敗者の悲しみ。これから花海棠の花を見る度、二人のことを思い出すに違いない。

2021/04/11

イプシロン

批評家というものが嫌いだった。恐らく今でも得手勝手な自己の理想を拠り所として批評するような評論家は嫌いである。しかし、本作を読んでまっとうな批評家というのは、そのような評論家を指すものではないと気づけたのは大きな収穫だった。誰にとっても普遍的な真理――世界と一体になる生き方――を拠り所としているある人物やその人の作品について、そのような生き方がどのように滲みでているかを批評するのが、まっとうな評論家なのだと気づかされたからだ。本作でそうした小林の思想が最も色濃いのは「私の人生観」であり、

2020/04/09

Mishima

本とは、人がたちあらわれて来て、言葉とは、本の魂なのだと、知らしめてくれた小林秀雄。どう生きるべきか、が彼の生涯通しての命題であった。どこまでも対象物に向かってつきあうことで、感応し合うという。この文言だけを眺めるとおかしなことを言っているかのようだが、書中「ゴッホ」「セザンヌ」などを読むと、なるほどと納得してしまう。が、そんな集中力を持ち合わせているとは思えないので、私がそれを実感するのは遠い夢だと思う、とトオイメになってしまうのだが。

2019/09/03

里愛乍

表題作は元より、全編比較的解しやすい、また思わず魅入ってしまう言葉で綴られた文章が纏められた一冊となっている。それ故に既読作品が多かったが、読み直して今、やはり自分にとってこの人の作品は何年も繰り返して読む類なのだろう。中原との文は何度読んでも切ないし大好きだし、菊池寛については敬愛している様が有り有りと伝わってくる。とりわけ一番面白かったのは『感想』だ。これは安吾が書いていた『教祖』の件か。童話と経験とは流石に巧いなと感動する。水上氏の解説が秀逸、ここに本書の全てが書かれていると思う。

2020/06/17

Gokkey

難解な文体の根底には実存主義の哲学者のような思想的核心がある。その核心が引き寄せる素材は文学のみならず芸術、歴史など幅広い。特に印象に残ったのが、セザンヌの批評のコラムでの「画家とは言わば視覚という急所を自然の強い手で押さえられた人間なのだ。自然を見るとは自然に捉えられる事なのだ。」つまり自然に包み包まれ、主体としての自分も自然の一部として在る。この調和の中で生き、その瞬間を切り取ってきた昔からの日本人の心にある生得の直感を何よりも大事にする。それは岡潔氏との対談でも述べていた「情」そのものなのだろう。

2020/10/15

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