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緋色の記憶〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMク 17-2)

緋色の記憶〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMク 17-2)

緋色の記憶〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMク 17-2)

作家
トマス・H・クック
鴻巣友季子
出版社
早川書房
発売日
2023-04-25
ISBN
9784151799525
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緋色の記憶〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HMク 17-2) / 感想・レビュー

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buchipanda3

古風な風情が漂う1920年代のニューイングランド地方の村を舞台としたミステリ。これは結構な余韻を残す作品だった。それまでゆっくりと積み上げられてきた朧げな不穏さが最後に氷解し、真相に加えてそれまでの意味を一気に知らしめられたと感じた。それはどこか想像はしていたにもかかわらず実際に叩きつけられると違うのだ。自由への憧憬は罪なのか。しかし代償は大きかった。ミス・チャニングは最初から最後まで本当の気持ちしか語っていなかったと思う。それを信じたのはただ一人の人物だけだったかもしれないが、それがどこか救いと思えた。

2023/05/30

優希

純文学としてもミステリーとしても読める作品だと思いました。浪弁護士の回想と裁判を繰り返しながら物語は進みます。美しい女教師のミス・チャニングが同僚を愛したことで起きたチャタム事件。静かな中に痛みとして投げ込まれた世界に魅せられました。

2023/05/29

mikky

傑作ミステリの復刊。美しい美術教師をめぐる悲劇の物語。ステレオタイプと言えばそれまでですが、いかにもいわくありげな物語の導入、村の象徴のように見える父、傍観者たる主人公の視点と、あちこちにミステリ好きが胸躍らせる仕掛けが張り巡らされています。 事件の過程、物語の結末としては、決して予測がつかないものではありません。それでも全体を覆う田舎の村の風景(美しくも、陰鬱にも見える)、そこに暮らす人々の感情が色彩を伴って眼前に迫るようで、物語の世界をたっぷり堪能させていただきました。

2023/05/01

だるま

1998年に文春文庫で出た同タイトルの復刊本。その前年のエドガー賞受賞作で、日本版もランキング本では上位になったらしい。それなら面白いに違いないと思い読んでみたが、どうも私にはイマイチだった。老弁護士のヘンリーが主人公。彼が学生時代に起こった悲劇「チャタム校事件」を回想していくストーリーだが、現在と過去が細かなカットバックで描かれて読み難いし、事件の内容が終盤まで分からず焦れったくなってしまった。そして少年時代のヘンリー、立ち聞き多すぎf(^_^)。予想の上を行く真相には驚いたが、それまでが何しろ退屈で。

2023/05/02

黒猫

長ーい妄想膨らみまくりの助走からラストの転落が衝撃的だった。想像を超えた後味。最後の最後まで続く追い打ちが辛い。自由と理想を追い求める年頃のヘンリーの気持ちが痛いほどよく分かる。少年ヘンリーの目を通して自分の若い頃を思い出して懐かしく思えた。あの烈しい感情、今は持てない。

2023/09/03

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