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ある男

ある男

ある男

作家
平野啓一郎
出版社
文藝春秋
発売日
2018-09-28
ISBN
9784163909028
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「ある男」のおすすめレビュー

人生は選択の積み重ねの結果、といえるのか?『ある男』に考えさせられる――

『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)

「ある男とは、誰のことなのだろう?」  本作を読み始めた人の頭にまず浮かぶのは、この問いである。

『マチネの終わり』以来2年ぶりとなる、平野啓一郎の新作小説『ある男』(文藝春秋)は、「城戸さん」という男と小説家が出会う「序」から始まる。バーで出会った中年男性は初め別の名前と経歴を語っていたが、相手が小説家だとわかり、いろいろと質問をされると、実は城戸という名前で弁護士をしていると告白する。小説家は少々訝しげに思うが、その後打ち解け、幾度となくバーで会い、興味深い話を聞くこととなる。

 序が終わり、城戸についての話が始まるのかと思いきや、本編は里枝という女性の物語から始まる。“ある男”の謎の糸口をつかめるかと思っていた読者は少々肩透かしを食らったような気分になると思うが、宮崎で起きた不可思議な出来事を読み進めていくと、「ある男とは城戸ではなかったのか? ではいったい、ある男とは誰のことなのだろう?」という新たな疑問が頭をもたげてくることになる。

 横浜で結婚し、2人の男の子に恵まれた里枝は幼い長男の死をきっかけに離婚、…

2018/9/28

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■5位 『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)

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『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)▶【レビュー全文はこちら】

『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)

『ひとつむぎの手』(知念実希人/新潮社)▶【レビュー全文はこちら】

『火のないところに煙は』(芦沢央/新潮社)▶【作者インタビュー記事はこちら】

『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎/実業之日本社)▶【レビュー全文はこちら】

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2019/1/22

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ある男 / 感想・レビュー

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starbro

平野 啓一郎は、新作中心に読んでいる作家です。本作は、戸籍交換家族ミステリでした。戸籍交換・売買、無戸籍等、戸籍に関する闇は、かなり深いのかも知れません。

2018/10/19

鉄之助

誰にでもある、”消したい過去”のひとつやふたつ。いやそれ以上の忘れたい人生の数々…。私にもいっぱいある! そこで登場した戸籍交換ブローカー。別の男として生きる羨望を、実にリアルに感じられた。「誰も”本当”の名前を知らない」ある男、を追跡した城戸弁護士の執念にトキメキながら読み進めた。「その偽りは、やがて成就した愛によって赦されるだろうか?」。それを本物の愛という…。いつまでも心に響くテーマだった

2022/11/22

bunmei

彼の作品からは、人にはいくつもの顔がある、『分人主義』の様な考え方が感じ取れる。私達は、相手次第で様々な自分になり、それが自然であることを受け入れるべき、と訴えてくる。本作でも、数人の男が戸籍交換を繰り返し、生い立ちや家族を完全に捨てる中で、過去の自分とは決別して、新しい人生を歩むという話であるのも頷けます。また、弁護士・城戸も在日三世としての拘り、美涼への恋慕、妻との溝等、その時その時での様々な顔が浮き沈みします。しかし、その事は人が人として生きていく為には、赦されるべきものでもある、と思いました。

2019/01/29

ウッディ

事故死した夫が別人であったことを義兄から伝えられた里枝。相談を受けた弁護士の城戸は、夫の正体そして本当の谷口大祐の行方を調べ始める。難しい表現もあるが、心の襞を丁寧にかつ簡潔に表現する平野さんの文章力はさすがで、久々に文学作品を読んだ気がしました。過去も含めた自分の境遇を捨て、別な人の人生を生きた男が初めて感じた安らかな日々、愛する父が実体のない別人だと知らされた悠人の心境を思うと切なく、自分ならもう少し上手く生きることのできる別な人生があったかもしれないという城戸の呟きは心に染みました。面白かったです。

2019/03/12

ヲム

ミステリー小説なんだけど、その中にも色々深い言葉が出てきたりと…特に三勝四敗は響きました! 作品中の曲を調べて聞いてみると、より作品の深みが出ました!

2018/11/03

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