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翻訳夜話 (文春新書 129)

翻訳夜話 (文春新書 129)

翻訳夜話 (文春新書 129)

作家
村上春樹
柴田元幸
出版社
文藝春秋
発売日
2000-10-20
ISBN
9784166601295
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翻訳夜話 (文春新書 129) / 感想・レビュー

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ミカママ

翻訳に興味のあるあなたにも、春樹さま、柴田さんファンのあなたにも絶対に満足していただける一冊。春樹さまが翻訳しているのは知っていたが、これほどまでに数こなしているとは知らなかった。そして柴田さんはその最終チェックをしていらっしゃる方だそう(もちろんご自身でもその世界での第一人者&大学の先生)。わたし自身は原書を読む際には頭の中でいっさい和訳しないので、翻訳者のご苦労がよくわかった。その手間の割に金銭的見返りが少ないであろうことも。そう、愛がなくてはできない、のだ。

2024/01/18

アキ

もう20年以上前に読んだ新書を再読したら滅法面白い。柴田氏が東大准教授時代に村上がゲストとして来たフォーラム1はあくまでさわりで、翻訳学校の生徒とのやり取りのフォーラム2で柴田氏の翻訳は遊び、村上氏の小説と翻訳はチョコレートと塩せんべいみたいなものとの発言があり、プロの翻訳家を交えたフォーラム3では今をときめく岸本佐知子さんが出席者Aとして参加している。カーヴァ―とポール・オースターの訳し比べについての質問と議論が愉しい。お二人が最初に協力して訳した「熊を放つ」も懐かしい。数十年ぶりに再読してみようかな。

2021/06/20

nobi

タイトルから大方の内容が想像できるように思っていたのが、フォーラムに私も同席しながら、翻訳の世界の深層にずんずん分け入っていく感じがした。脇役に見られがちな翻訳に“かけがえのなさ”を見出している二人。黒子に徹するのがキモであるにしても、黒子がいて人形が生き、黒子毎に人形の気性や機微が違って見えるおもしろさ。例えば「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」競訳で、地の文は村上訳に、会話は柴田訳により息遣いを感じたり。でも“翻訳の日本語には苦労したことがない”という村上氏は翻訳者の中ではかなり特殊な部類かも。

2019/01/19

はたっぴ

お二人の翻訳作品(オースター、カーヴァー)から興味を持ち、この共著の元となる学生フォーラムでのディスカッションを臨場感たっぷりに楽しめた。翻訳を音楽に例えて「リズム(ビートとうねり)が大事」と言う村上さん。クラシックを色々なバージョンで演奏するように、古典文学ももっとたくさんの訳者が挑戦したらいい等々、自由でざっくばらんな会話に引き込まれた。オースターとカーヴァーの短編翻訳でお二人の感性の違いを比較する〝読み比べ〟も満喫。翻訳本の楽しみ方がちょっぴりわかった気になる。『村上柴田翻訳堂』も読み進めたい。

2016/09/29

mayumi225

翻訳への愛あふれまくる一冊。英語には一つしかなく日本語には多くある一人称の選択、女言葉・男言葉など口調のバリエーションが少ないために英文に頻繁に挿入されるhe said, she saidを訳すかどうか等、英文を訳す際に必ず通る基本的な問題から、翻訳における文体の問題や翻訳者の自我などのめちゃめちゃ高度な議論まで。肩の力を抜いた二巨頭の議論が濃密!競訳までしちゃって完全に楽しんでるし…。翻訳が単に言語を置き換える無個性な作業ではないことが一目瞭然。むしろ、言葉・言語・文体の奥行きを噛みしめる知的な遊びか。

2018/08/21

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