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謎とちから ドストエフスキー (文春新書 604)

謎とちから ドストエフスキー (文春新書 604)

謎とちから ドストエフスキー (文春新書 604)

作家
亀山郁夫
出版社
文藝春秋
発売日
2007-11-20
ISBN
9784166606047
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謎とちから ドストエフスキー (文春新書 604) / 感想・レビュー

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KAZOO

結構内容的には、好き嫌いが出る書き方をされているように感じました。ただドストエフスキーの晩年の5大大作の解説という点からみれば私はかなり参考になりました。副題の「謎とちから」という観点からは物足りなさを感じます。新書版で書いているのであまり深堀した内容が出ていないのだと感じました。昔の江川卓さんのシリーズのほうが内容的には深みがあった気がしました。

2015/09/25

ネギっ子gen

『カラマーゾフの兄弟』新訳で名を馳せた著者が、ドストエフスキー関連新書を多数出した中の一書。<ドストエフスキーを読みなれた読者たちの感性を、少しでも生まれ変わらせたいという切なる願い>を発し、<命がけの読み込みでなければ、ドストエフスキーの読解に新しい世界は開けない、と。徹底した読み込み>をした著者が、『カラマーゾフの兄弟』新訳を通して得られた知見をプラスして、人物・時代・作品の「謎」を通し、彼の文学が 持つ「ちから」について考察した。本書では異端派との関わりに重点を置かれているところが、とても嬉しい。⇒

2020/05/08

テツ

ドストエフスキーの五大長編についての解説&考察。人が生きる上で犯してしまう罪。弱さ故に陥る罠。そうしたものに捕らえられた人とそうしたものを超越する人間の「ちから」 ドストエフスキーが描こうとしたものの本質は一体何であるか。内容的には革新的なドストエフスキー論などがある訳ではないけれどこうした本を読んでいると原著をまた最初から読みたくなってしまう。夏の終わりの猛るような太陽が弱ってくるこの季節はドストエフスキーがピッタリ合う気がします。

2017/08/29

Miyoshi Hirotaka

キリスト教はカトリックと正教に分裂した後にロシアでさらに分離し、一部は、カルトに変質した。そこから200年後、「貧しき人々」でデビューしたドストエフスキーは、登場人物の心理的葛を描くだけでなく、ロシアの異端の歴史や自分の人生経験を折り込み、信仰か無神論か、自由かパンかという議論で多層的にドラマ化した。例えば、「罪と罰」の主人公の名前「ラスコールニコフ」は、正教から分かれた分離派を連想させるだけではない。そこには、キリストの敵対者の数を連想させる仕掛けが埋め込まれている。これらは後年、様々な謎解きを生んだ。

2017/10/16

踊る猫

親切に作られている。五大長編を読み通したことがない人間にも伝わるように平たく、それぞれの作品の中身を論じてみせる。だが、やはり読んでおいた方が良いことは言うまでもない。キリスト教の異端派に着目して読む著者の読みは従来の読みとまた違った論点を提示しようとする野心に満ちており、スリリングである反面眉唾モノの予感もするので他のドストエフスキー論をみっちり読み込んでからまた戻って来ようか。今この本について云々するのは時期早々であると思う。だから今は読み終えたというメモだけに留めておく。『白痴』『悪霊』を読みたい!

2018/01/26

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