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灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)

灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)

灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)

作家
ヴァージニア・ウルフ
ジーン・リース
鴻巣友季子
小沢瑞穂
出版社
河出書房新社
発売日
2009-01-17
ISBN
9784309709536
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灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

「サルガッソーの広い海」のみ、読了。『ジェーン・エア』のロチェスター氏の妻、バーサ(アントワネット)視点による異国の地で生まれ、育った者の苦しみと孤独が丹念に綴られている。アジェンデ作品や『恥辱』のように嘗て、支配していた人々の反乱による残虐さに心を傷つけられ、全てを失ったアントワネット。植民地では「支配者の血を引く者」と憎悪され、白人の国では「異国の血が混じり、蔑んでも暗黙の内に許される者」という立場。夫からは狂ってしまったと言われる亡き母、バーサと呼ばれる。先祖の罪の償いというにはあんまりではないか。

2017/03/07

はたっぴ

【灯台へ】G1000作品。子だくさんのラムジー家のある日を切り取り、重層的に描かれている。人間の脳は絶えず思考を続けるそうだが、登場人物の呟きや細やかな心理描写に呑み込まれそうになりながら頁を捲り続けた。ここで流れる時間はそれほど長くはないが、ラムジー家と彼らを取り巻く人々の幸せの記憶が心に刻まれる作品。【サルガッソーの広い海】『ジェイン・エア』の裏版となるそうだが、これはこれで共感を覚える物語だった。著者自身が経験した偏見や不幸が生み出した作品と捉えれば、優劣をつける意味もなく、それぞれに素晴らしい。

2018/08/12

たーぼー

灯台へー突如として『死』が待ち受ける第二部の急展開。ここに本作を名作たらしめんとする煌めく瞬間がある。一人の若者の不吉を暗示する言葉が現実となる。この行為によって、様々な事象を通り抜けてきた人々の10年という時間の苦悩と歓喜が一斉に構築され、作品に律動を与えるのだ。昨日の夜は朝、振り返ったとき、すでに一つの比喩にすぎない。同じ様に明日、灯台へ行ける可能性は千に一つもない。風向きは始終変わるのだから。習慣も、忘我も、希望も、希望に裏切られた悲しみも全てが包括された彼岸に、灯台へ向かう人々は存在するのだろう。

2017/01/25

ゆう

「灯台へ」ウルフが採る意識の流れという手法は、多弁・他視点的なのに、ちっともうるさくないから不思議だと思っていた。多声的な語りは、人々の生活を語りながらも、徐々に精霊の声のような響きをもつ。本作を読んで、事実精霊の語りなのだと思った。第一部で他愛のない家族の風景が描かれたあとの第二部。家族が去った後の館、そこを過ぎていく何年もの時間が意識の流れで描写されるのだが、ここでは時間や風や星が意識の流れの主体となったかのようだ。人々の声は遠景としてさざめくに過ぎない。この容赦なさと美しさ。永遠に読んでいたい文章。

2019/08/14

syaori

面白かったです。『灯台へ』はラムジー家とその周囲の人々の意識を追うことで、ある1日の情景が見事に浮かび上がってくるのにうっとりしました。色を塗り重ねて一瞬の光、空気感を捉える印象派の絵画を見ているようで、物語が幸福な光に彩られていることもあり、楽しい読書でした。『サルガッソー~』はクレオールの少女アントワネット(バーサ)の物語です。物語全体がよりどころのない不安に満ちています。英国人からも植民地の人からも蔑視される彼女が追い詰められ狂気に陥っていく過程は緊張感に満ちていて、息をつめるようにして読みました。

2016/04/26

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