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椿ノ恋文

椿ノ恋文

椿ノ恋文

作家
小川糸
出版社
幻冬舎
発売日
2023-11-01
ISBN
9784344041929
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「椿ノ恋文」のおすすめレビュー

義母の手作りのお菓子に時々髪の毛が混入していることを伝えたい。代わりに手紙を書いて思いを伝える代書屋の物語

『椿ノ恋文』(小川糸/幻冬舎)

 想いを伝えるために大事なのは、相手がなにを言ってほしいか、言われたくないかを汲みとることなのかもしれない。どれだけ言葉を尽くしてもわかりあうどころか、遠ざかってしまうように感じられるのは、目の前にいるその人を見ないで、自分の心の内側ばかり見つめているせいかもしれない。そんなことを、小川糸さんの小説『椿ノ恋文』(幻冬舎)を読んで、しみじみ感じた。

 本作は、文具店の店主であり代書屋でもある主人公・鳩子の物語。『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』に続くシリーズ3作目だが、前2作を読んでいない人も、安心して手にとってほしい。シリーズものと気づかず、最初に『椿ノ恋文』を読んだ私も、すっかり物語に魅了されてしまった。今作では、鳩子にとって義理の娘(夫の連れ子)であるQPちゃんの反抗期や、先代の代書屋で厳格なる鳩子の亡き祖母の秘めたる恋が描かれるため、家族がどのような道のりで今に至ったか知りたくなって、あとから前2作を一気に読んでしまったが、そういう順番の自由を許してくれる、懐の深い作品でもある。

 代書屋への依頼はさまざまだ。手作…

2023/12/21

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椿ノ恋文 / 感想・レビュー

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starbro

小川 糸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。6年ぶりにポッポちゃんが帰ってきました。 今巻は、タイトルの恋文も含め実際の手紙多めで、読ませます。家族も増え、大島にも展開し、大好きな「ツバキ文具店」シリーズは、まだまだ続きそうです。 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041929/

2023/12/08

さてさて

『このお知らせが皆様の元に届く頃には、また代書のご依頼を承ることができるようになっているかと存じます』。そんな言葉の先に『代書屋』である『ツバキ文具店』を再開させた主人公の鳩子。この作品では、『手紙』の魅力をこれでもか!というくらいに文字の力で読者に強く印象づけていく物語が描かれていました。『鎌倉』の街の魅力がディープに味わえるこの作品。『代書』の世界の奥深さに深く感じ入る他ないこの作品。作品世界にどっぷり浸れる新たな傑作の誕生に、小川糸さんの紡ぐ物語世界にすっかり酔わせていただいた素晴らしい作品でした。

2023/11/04

旅するランナー

椿文具店シリーズ③。代筆業の主人公が書く、自筆のていの手紙が味わい深い。やはり家族関係が主となる後半に、感情がもっていかれます。特に先代(祖母)が残した手紙に書かれた「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔いもせず」の深みにやられます。

2024/03/22

hirokun

★4 小川糸さんは、初読みの作家さん。この作品も、おそらく読書メーターを活用していなければ出会わなかったもの。シリーズ第三弾とのことだが、出足のお手紙、風景描写からこの作品に引き込まれました。この作品から感じるものは各人各様でしょうが、私にとっては自分の大切にしたい事、人をしっかり見極めるとともに、最初の一歩を踏み出す勇気をもらい、そっと背中を押してもらった様な気がします。こんな気持ちになれる作家さんをこれからもフォローしていくつもりです。

2023/11/27

いつでも母さん

手紙は温かい。手紙は優しい。手紙は切ない。手紙は正直。そして、手紙は残酷。差出人の心と受け取り人の心がいつもピッタリ重なり合うとは限らない。それでも手紙でしか伝えられない思いがある。一方通行でもだ――鎌倉ツバキ文具店の鳩子が3児の母となり、代書屋を再開したところからシリーズ第3弾の本作は始まる。連作5話ただ優しいだけじゃなくピキリと刺さる思いもある。それでもだ、根底にあるのは生きること。どの手紙からも溢れ出る優しさに胸が一杯になった。読んだばかりなのにもう、また会える日を楽しみにしてる私がいる。

2023/11/20

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