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叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 60)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 60)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 60)

作家
梓崎優
出版社
東京創元社
発売日
2010-02-24
ISBN
9784488017590
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叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) (ミステリ・フロンティア 60) / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

異国情緒と旅情をぶ厚く纏ったミステリー。訪れたことの無い外国は宗教も考え方もまさしく異国。死が隣に座る砂漠のキャラバン。スペインの熱く乾いた夏の空気にまわる風車。ロシア修道院の聖柩。南米アマゾン先住民族の叫び。孤島の洞窟、彫られた祈り。仰天するようなトリックは感じないものの、良い意味で裏切られた最終章「祈り」世界を繋げる鍵・友の輪に繋がる旅人、斉木。情景浮かんで来るような、雪のように舞いふぶく桜の花びらが鮮やか。

2011/06/11

kishikan

これはネ、すごい。第一文章が上手いし、美しいし、よけいな修辞が見られない。主人公の斉木が、さまざまな海外の国を旅し、ルポしたという独立した短編ミステリー。一つ一つの作品も心に残るが、最後の作品「祈り」に結末を持ってきている構成がすごい。それぞれの作品も良いし、「叫び」も強烈な後味を残すが、事件の謎をとくというミステリとしてより、その一つ一つが結実するこの本の結末の方が、圧倒的に訴える力、迫力を持っている。次の作品に大いに期待したい。

2010/08/09

mikea

この作品がデビュー作なんて、すごい!!文章も魅力的で最初から惹きつけられました。それぞれの話で色の印象が強く残ります。例えば感想画を描きなさいという課題が出たとしたら凄く描きやすいのではないかというシーンがいくつかあります。(画力の問題は別として)。色々な国を歩いている錯覚に落ちるような表現に、読書の楽しさを満喫しました。次の作品が楽しみです。

2011/04/08

nyanco

物語の序盤は、これがミステリーなのかと不思議に感じるほど抒情的。美しく独特な世界、特に受賞作の『砂漠を走る船の道』が巧い!砂漠の物悲しい風景、自然の脅威、そして一族の掟…、後半じわっとミステリー要素が溢れてくる。スペインの風車、ロシアの修道院、アマゾンの密林…、読者をその世界に旅立たせてくれる。抒情豊かな文に浸っているといきなりグサリとミステリーと突き付けられる。そして最終章、ああ…と思わず溜息が出る展開でした。凄い新人が出てきたもんです!次はどんな作品を書いてくれるのか楽しみ。

2010/03/31

ちはや@灯れ松明の火

世界を渡りゆく風は、どれほどの叫びをその背に乗せて走るのか。遠い異国の地を踏む旅人、世界はひとつに繋がっていると無邪気に夢見ていた。砂漠の海を泳ぐように進む隊商、陽光眩い南欧の空に映える風車、霧の大地に眠る聖者の伝承、血と死臭が澱む密林の惨劇。不可解な謎を育む地に生きる者との邂逅は、言語程度では越えられぬ壁の存在を思い知る瞬間。彼等の強い信念が産み落とす叫びは旅人を打ち据え苛む。けれど願い祈らずにはいられない。心は通じ合うことができると。陸に阻まれ海に隔てられても、祈りもまた風と共に、丸い地球を巡ると。

2010/09/30

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