姑の遺品整理は、迷惑です
「姑の遺品整理は、迷惑です」のおすすめレビュー
“捨てられない”姑の遺品、嫁の私が片づけるの?――『姑の遺品整理は、迷惑です』
『姑の遺品整理は、迷惑です』(垣谷美雨/双葉社)
『夫の墓には入りません』『老後の資金がありません』(ともに中央公論新社)など、誰もがどきりとするテーマを中心に、精力的な執筆を続ける垣谷美雨氏。今回、そんな彼女が選んだテーマは、「遺品整理」だ。『姑の遺品整理は、迷惑です』(垣谷美雨/双葉社)というタイトルだけを見ても、結婚している人の多くが強い共感を覚えるだろう。そう、本書はフィクションでありながら、決して他人事ではないリアルな問題を描いた作品なのだ。
主人公の望登子(もとこ)は、自宅から片道1時間半もかかる古びた団地に足を踏み入れていた。先日、一人っ子の夫の実母、つまり望登子にとっては姑が、脳梗塞であっけなく逝ったのだ。夫は残業続きで忙しく、遺品整理には手が回らない。しかし、団地は賃貸なので、放っておけば賃料がかかる。片づけ業者を頼むには、まとまったお金が必要だ。パート勤務の自分が、姑の住まいを片づけるしかない。
そして──姑の家をあらためた望登子は、呆然とした。姑は、“捨てられない人”だったのだ!
古い団地のたっぷりとした収納スペースには、頭…
2019/4/12
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姑の遺品整理は、迷惑です / 感想・レビュー
鉄之助
垣谷美雨のタイトルは、わかりやすい。「、迷惑です」(読点のタメにいろんな意味が含まれているような気がする)と言い切った、遺品整理は本当に面倒でした。私も、5年前、母の遺品を前に途方に暮れたことを、思い出した。この共感が、多くの人にこの本を読ませている。しかし、単なる「迷惑」でない、遺品整理が故人の違う面を発見する機会であったり、複雑な感情が整理をしながら沸き起こるのも、また真実だった。
2022/08/23
ヴェネツィア
垣谷美雨は14冊目だが、この作品も軽快なテンポで日常生活 に生じた危機を語り、それを解決してゆくという物語である。ただ、今回は幾分か深刻さの度合いが緩やかで、その後の展開もまた辛辣さはしだいに影を潜めるばかりか、むしろ和解し受け入れてゆく。主人公の望登子(語り手でもある)がそれ相応の年齢ということもあり、価値観の衝突から多様性の受容へと変容してゆくのである。プロットもいつもながらスピード感とテンポで面白いが、町内会の丹野の登場からはトントン拍子にことが運びすぎるようにも思う。
2024/03/18
Yunemo
なんだか、あまりにも淡々とした展開すぎて。姑の遺品整理の過程で、主人公望登子が実の母と姑に対する比較について、心の内が記されます。一目見た時のとんでもない遺品の数々、ここから始まる苦悩の連続、嫁としての立場が実母との比較により姑批判へと進む有様は、ホントホントと納得感で一杯になり。でもね、ここから変化していく心の内が、公平な見方になっていくまでのちょっとした事実の積み重ねがジワジワと胸に響いてくるのです。逆に淡々と描かれてるからそのままを実体験として味わえるのかも。生前整理を始めましょう、と言われてもね。
2019/12/08
うっちー
近所づきあいも変わりました
2019/06/01
milk tea
姑の遺品を整理する嫁・望登子。3DKの家は簡単に片付けられると思っていたが、物が溢れかえり唖然とする。エレベーターのない4階からごみ置き場まで何往復もしなければならない。いっこうに片付かない部屋を見渡すたびにイライラと疲れが増す。癌を患っていた母は、亡くなる1年半の間に徹底的に整理していた。義母と母の対比。しかし、姑の遺品整理をしていくうちに、いろいろなことが明らかになり、同じ団地に住人からは面倒見がよく感謝されていたことを知る。また弟の嫁と母の関係が望登子が思っているものと違っていた。
2020/02/02
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