新装版 秋の舞姫『坊っちゃん』の時代 第二部
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新装版 秋の舞姫『坊っちゃん』の時代 第二部 / 感想・レビュー
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これは森鴎外を通して明治を見通す巻。陸軍なので、乃木希典とか大山巌とか出てきます。エリスさんが日本に来ている所を書いて「家」というものの圧力、「義」という倫理観を表します。史実がどうかはわかりませんが、エリスさんと二葉亭四迷が絡んでいます。清水の次郎長も絡んでます。嘉納治五郎も絡んでます。広瀬中尉も絡んでます。漱石よりは少し前、若い明治の中で、始めて手探りで何かをつかもうとした人々の混乱と迷い、信念と情熱。命をかけた言葉の力。もう一回読んじゃおうっと。後、このシリーズまだ、3冊あります。
2018/06/30
カピバラ
エリスと森鴎外のエピソードが読んでいて切なかった。
2014/11/12
くさてる
高校の教科書に載っていた「舞姫」。文章の美しさと主人公のクズさの落差に友人と議論になったことを思い出す。今となってはあの短い「普請中」に鴎外の本音を感じるのだけど、この物語にその鴎外の視線が合ったのが嬉しかった。明治の文人を描いたこの物語から派生するものは、歴史、文学、人間の感情とさまざまだけど、谷口ジローの描線がそれらすべてを内包して、表現している。巧みである。
2022/02/05
ぐずぐず
現代に生きる我々が、何の疑いも無く主体の根本としている「個人」という概念すら存在しない時代があった。 エリスの「家が考えるのですか」という台詞に胸を衝かれる。 下手な小説より読み応えがあった。
2014/12/14
マッピー
ドイツ留学から帰国した鷗外を追ってきた、エリス。それは、エリスの独りよがりの恋ではなく、鷗外との約束だったのだ。しかし鷗外は家族を説得するどころか、家というくびきに繋がれることを自ら選んだ。エリスの来日を知っても会いにもいかず、弟の篤次郎や妹の婚約者である小金井良精(星新一のおじいちゃん)にエリスの説得を任せる。鷗外とエリスが会えずに(会わずに)いる時、エリスのそばにいたのが二葉亭四迷である。エリスが鷗外を信じ、鷗外の来訪を待っている間、二葉亭四迷は彼女の人となりをそばで見ていて、彼女に淡い思いを抱く。
2015/03/11
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