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奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫)

奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫)

奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫)

作家
原田マハ
出版社
双葉社
発売日
2018-01-10
ISBN
9784575520712
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「奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫)」のおすすめレビュー

知っている話なのに心揺さぶられる! 読者を感動の渦に包む原田マハ版『奇跡の人』

『奇跡の人 The Miracle Worker』(原田マハ/双葉社文庫)

 盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女と、教師が起こした奇跡の物語…といえば、ヘレン・ケラーとアン・サリヴァン女史の物語がある。もし、ヘレンとサリヴァン先生が日本人だったとしたら? 原田マハ氏の『奇跡の人 The Miracle Worker』(双葉社文庫)は、明治日本の津軽地方を舞台に、ヘレンとサリヴァン先生の物語を新たに描いた実験的小説だ。

 主人公は、旧幕臣の娘・去場安(さりばあん)。岩倉使節団の留学生として渡米した彼女は帰国後、「日本にも女子教育を広めたい」という情熱を抱えていた。ある日、伊藤博文から「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという手紙をもらった彼女は、その少女・介良(れら)れんの教育係になることに。だが、れんは、食事のしつけも排泄のしつけもされておらず、暗い蔵に閉じ込められ、使用人たちからは「けものの子」として扱われていた。自身も弱視であり、そのハンデを抱えながらも留学して勉強してきた安は、れんの中に眠っている才能をどうに…

2018/5/10

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原田マハ版『奇跡の人』はなぜ明治の津軽が舞台なのか

『奇跡の人 The Miracle Worker』(原田マハ/双葉社)

 奇跡の人──と言えば、ヘレン・ケラーに言葉をもたらしたアン・サリヴァン女史のことである。原田マハ『奇跡の人 The Miracle Worker』(双葉社)は、明治の津軽地方を舞台にヘレンとサリヴァン先生の物語を翻案・再構築した実験的な意欲作だ。

 物語は明治20年、アメリカ留学帰りの弱視の女性・去場 安(さりば あん)が、津軽は弘前で暮らす盲聾唖の6歳の少女・介良(けら)れんの家庭教師として雇われる場面から始まる。この名前を見るだけでわかるように、著者は初手からはっきりと、これはヘレンとサリヴァンの話ですよと読者に告げているのだ。

 安が出会ったれんは暗い蔵に閉じ込められ、手づかみで食事をとり、排泄の躾もできていない、まるで獣のような少女だった。そんなれんを安は「気品と、知性と、尊厳を備えた『人間』になってもらうために」根気よく言葉を教える……というところから「水」を認識するまでの流れは、まさに私たちがよく知る「奇跡の人」そのままである。

 ではなぜ著者は、この物語を明治の津…

2018/2/4

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奇跡の人 The Miracle Worker (双葉文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ミカママ

正直、マハさんの史実ベースのフィクションは苦手である。今回のコレも、あぁあの話かぁ、マハさんも焼きが回ったかな、と。主人公たちの名前もなんだかふざけているし。でも読み始めてそんな懸念は吹っ飛んだ。なにしろ津軽舞台が効いている。サリバンさん…じゃないや、去場安(笑)の熱意と根気がスゴかった。そして盲目の少女キワとの交流が、物語に一層の深みを与える。津軽三味線、ぜひ一度ライブで聴いてみたいものだ。

2020/09/18

三代目 びあだいまおう

私はずっと見続けてました。奇跡の人達が起こす奇跡の数々、奇跡の瞬間を!読んでいたのではない!私はずっと見続けてました!かつてこれ程何度も何度も落涙し、心で(頑張れ😭)と応援し続けた経験はあっただろうか。人は言う、これはヘレン・ケラーの原田マハVer.であると。私にとっては違う!津軽という地で、生き生きとした津軽弁飛び交う日本の田舎で、実際に起こった奇跡のノンフィクション!何故なら、私は安先生と、三重苦れん、全盲で三味線の名手キワ達が手繰り寄せる奇跡の数々をずっと見続けてたのだ!過去最高の感動物語‼️🙇

2019/03/08

けいご

ヘレンケラーがもしも日本人として生まれていたら?と言う物語。奇跡とは「起きるものではなく起こすものだ!」と世間は言うけれど「奇跡は愛情によって育む事で生まれてくるものなんだよ?」と言われた気がした1冊です★多くの奇跡の裏側には大きな愛情が隠れていると思うと、心のあり方次第で世界は良い方向へと必ず変わっていくのではないかな〜っとも思いました★後、物語に登場する津軽三味線のじょんがら節だけど、気になって人生で初めて聞きました。日本文化とは何か?をあらためて考えさせられました。

2021/05/02

Nobu A

原田マハ著書22冊目はヘレン・ケラー日本版翻案。アート小説を主軸とし、毎回文体を少しずつ変え様々なテーマを執筆する筆者。相変らずの読み易い筆致。前半緩やかに始まり中盤から加速。後半は一気読み。最後は不覚にも琴線に触れ目頭が熱くなってしまった。学習に貴賎なし。文中から人間らしさやコミュニケーションの大切さが伝わってくる。そして教師と生徒の信頼関係の重要性。他方、読書中、津田梅子が浮かんだ。幼少期に留学した彼女は日本語がままならなかった。そう言う意味で去場安の人物設定には無理がある。が、まあ良しとしよう。

2024/03/03

のり

「ヘレン・ケラー」と「アン・サリヴァン」を明治の津軽地方に置き換えた話。三重苦の運命を背負った幼き娘「介良れん」と弱視を抱えながら東京から家庭教師として招かれた「去場安」。最大の可能性と無に帰す可能性を併せ持った教えと日常。二人とも当に手探り状態。「れん」と同世代の「狼野キワ」との出会いで教育方針も定まっていくが…「キワ」もまだ幼いながらも敏感に空気を読む諭さに胸が締め付けられる。奇跡を編み出した者と、奇跡を感受し意思を継いだ者。さらに時を経ての感動の絆。参りました。😄

2019/03/02

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