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曲亭の家 (ハルキ文庫 さ 29-1)

曲亭の家 (ハルキ文庫 さ 29-1)

曲亭の家 (ハルキ文庫 さ 29-1)

作家
西條奈加
出版社
角川春樹事務所
発売日
2023-06-15
ISBN
9784758445696
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曲亭の家 (ハルキ文庫 さ 29-1) / 感想・レビュー

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のびすけ

馬琴の家に嫁いでいなければ、後世に名を残すこともなかったであろうお路。視力を失った馬琴の筆記助手として、口述筆記により里見八犬伝を完成させる。一口に口述筆記というけれど、馬琴が語る言葉を正確な文字で書き留めることがこれ程までに困難を極める過酷なものだったとは思いもよらなかった。尋常ではない滝沢家で、ひたすら苦労と努力を重ねたお路には頭が下がる。

2023/09/04

エドワード

曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」、今でも大人気の物語だが、老年に失明した馬琴の語りを、嫁のお路が口述筆記したことは、知っている人しか知らない逸話だ。群ようこさんの「馬琴の嫁」も以前に読んだ。この一家、狷介で不寛容な馬琴、癇性の姑と夫、重苦しいこと最上級だ。そんな家で孤軍奮闘、明るさを失わないお路の魅力が印象的だ。病弱な家族が次々と世を去る。最愛の息子、太郎まで先に逝く。そんな悲しみの極みで八犬伝の口述筆記を引き受けるのだから驚きだ。彼女がいなければ、現代の私たちは八犬伝を楽しめないのだから、感謝この上ないね。

2024/01/15

タルシル📖ヨムノスキー

南総里見八犬伝の著者滝沢馬琴の息子に嫁いだ女性・お路の物語。とにかくこの滝沢家が凄い。今で言うモラハラ、パワハラ、DV…何でもあり。今の世の中だったら即離婚というところですが、お路はその環境に耐え、時にはブチ切れながら自分の寄って立つところを見つけバラバラな滝沢家の要となり、最後は視力を失った馬琴の口述筆記まで任される。p.132にあった「小さい幸せはその気になれば見つかるものです。それが暮らしの糧になります」(中略)「小さいからこそ、慈しむのです。幸せとはそもそも、小さいものなのですよ」が心に沁みます。

2023/06/20

DONA

いきなりケンカして家出をしている場面から始まる割にはその後はずっと耐え忍ぶんだ、と変な所に感心。子は鎹というか、子は鎖に近い状態です。昔は特に男の子は家に取られてしまうものですから離れたくなければ耐えるしかない。最終的には幸せと言えたのかもしれませんが、それまでの耐え忍ぶ場面が辛過ぎました。

2023/08/22

coldsurgeon

小さな幸せを慈しむことにより暮らしの糧になることを教えてくれる物語だ。曲亭(滝沢)馬琴の長男に嫁いだお路を主人公としての修羅の道でもあった。馬琴は他人を信じぬ性分であった。そのために生きづらさを助長させ、家族を修羅道に巻き込み、それでも長寿により里見八犬伝という長編を完成させた。その長編の最後の部分は、お路の助けなくては成し遂げることはできなかった。戯作というのは、日々の生活に欠くべからざるものではなかったが、人々の心の糧であると気づいたお路が、曲亭馬琴の想いをしっかりと引き継のだろう。いい時代小説。

2023/07/17

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