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水歌通信

水歌通信

水歌通信

作家
くどうれいん
東直子
植松しんこ
出版社
左右社
発売日
2023-12-06
ISBN
9784865283945
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水歌通信 / 感想・レビュー

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buchipanda3

ふたりの歌人が日常に見た心を綴った歌物語。ゴロンとしながらゆっくりと味わった。短歌と散文が一対で歌われ、そこにさりげなくイラストが挿まれるリズムが良いなあと。時々順番が変わって変調になったり。ふたりの一方は前に進めない揺れる心、もう一方は目の前の生活の細部に穏やかに触れる心。それは水のように流れる気持ち、水のようなリズムで歌い上げる。本は水の言葉に溢れている。水たまり、雫、雨、水滴、噴水、れいん。「わたしの悩みはわたしだけの特別な形をしているはずなのに」、それはやがてくらげのように分離していくのだろうか。

2023/12/23

どんぐり

30代に近い女性歌人二人による短歌と対の散文。黒字になっているのが〈くどうれいん〉で、青字になっているのが〈東直子〉の作品。「愛ならばひかりより言葉がはやくその言葉よりはやいてのひら」「土が乾いてゆくまで話す紅葉のころにあなたがいたなら」と、みずみずしい歌が1つ、2つと重なっていく。短歌に情景を添える散文が心地よい。こういう構成もいい。

2024/03/01

Ikutan

黒字で書かれたくどうれいんさんの短歌と散文、青字で書かれた東直子さんの短歌と散文、そしてその2色で描かれた植松しんこさんのイラスト。洗練されたデザインと言葉が心を浄化してくれる素敵な一冊。若いくどうさんの言葉は、真っ直ぐで瑞々しい感性が溢れていて、日々の小さな気付きを掬いとった東さんの言葉は、絶妙で味わい深い。おふたりが淡いやり取りで交信された短歌に散文が添えられることで、内容がより身近に感じられて新鮮だった。表紙は東さん。″分離するくらげのように考えがとぎれとぎれてハクタカになる″。

2024/02/29

tenori

くどうれいんさんと東直子さん、ほぼ同年代のふたりの歌人が織りなす短歌と散文による新感覚の物語。交互に交信される短歌と、それを補足解説する形で添えられている散文が繋がるでもなく離れるでもなく呼応する様は、現実と夢とのあわいのよう。おそらく、自分自身の存在を別人格で表現しているのだと思いますが、そのふわふわした雰囲気が心地よく、おふたりの人となりが感じられるでしょう。自由律短歌なので音楽のように好きなリズム感で繰り返し楽しみたい。それにしても言葉の引き出しの多さと組合せの妙に関心させられます。

2023/12/06

Roko

『すけすけのエレベーターに乗る時は無口になるよ透けたくなくて』 エレベーターでは何故みんな寡黙になってしまうのか?をこんな風に詠まれるのって面白い。わたしはいつも外の景色を見たくてガラスのそばへ行こうとするけれど、せっかく透明なエレベーターなのに外を見ようともしない人が大勢いるのは何故なのかしら?ガラス越しに景色を眺めていると、普段気がつかないものが見えたり、人の流れたアリさんみたいに見えたりして楽しいのにね。

2024/01/27

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