町田といえば“里山さんぽ”なのだ!『散歩の達人』編集長コラム
公開日:2020/11/21
こんにちは。散歩の達人編集長の土屋です。
あっという間にもう秋も終盤。東京近郊でも紅葉の便りが聞こえてくる季節になりました。秋冬の散歩というと敬遠する方もいるかもしれませんが、適度に歩いていれば自然に体が温まってくるはず。機能性の肌着を身につけたり、防寒をちゃんとしていれば、結構散歩に適した季節なのです。街なかもいいですが、とくに小春日和の一日に出かけたいのが近場の自然、里山です。
今月号の大特集「町田・相模大野」では、紙数の都合で掲載できなかったのですが、個人的には町田の里山といえば小野路。今回のコラムではこの小野路を歩く里山さんぽをご紹介しましょう。
スタートは小田急多摩線、京王相模原線の多摩センター駅。駅前バスターミナルから神奈川中央交通バス「豊ヶ丘四丁目」行きに乗って7分ほどの「恵泉女学園大学入口」で下車。ここから歩き始めます。個人的に小野路を歩くのは3回目。迷うことはないだろうと思っていたのに、妙櫻寺の分岐でいきなり迷ってしまいました。というのもこのあたり、よこやまの道や鎌倉古道、鎌倉裏街道など、何本もの古道が交差する、さながら古道銀座。今では想像もできませんが、それだけ古くからの交通の要衝だったようです。
確かこっちのはずと舗装していないほうの道を歩き始めました。意外にアップダウンのある道を10分ほど歩くとどんどん道が細くなっていき、大丈夫だろうかと心細くなってきます。もう少し広い切り通しのような道を歩いた気が、などと思って歩いていると、ふと目の前に谷戸の風景が広がりました。これぞ小野路。こういう里山風景が見たかったのです。でも、道標を見ると、思ったより東に来てしまった模様。でも無事に着いたからよしとしましょう。
布田道に突き当たると、まずは別所方面の東に向かいます。道沿いには穏やかな里山風景が広がっていて、途中には野菜の無人販売所も。せっかくなので、ユズを買っていくことにしました(家で薬味に使いましたが、スーパーで買うより香り高し!)。無人販売所からはこの道をもう一度西に戻って関屋の切り通しへ。
この布田道は、布田(現・調布市)や江戸と小野路を結ぶ近道で、小野路宿の小島家(現・小島資料館)に近藤勇や沖田総司が出稽古に訪れる際に通ったと伝わる歴史ある道なのです。20分ほど歩くと、道の両脇が2~3mくらいの土壁となっている関屋の切り通しに到着。ここは道がS字になっているところが特徴で、切り通しの上は竹林。なかなかの風情で撮影しながらついゆっくり時間を過ごしてしまいました。この道をもう少し行くと舗装路になってすぐに小野路宿。『小島資料館』や『小野路宿里山交流館』もあって、江戸時代のにぎわいも髣髴とさせます。近くにこんな場所があるなんて本当にうらやましく感じますが、都心からも1時間以内で来られる距離なのですから、散歩する我々にとっても貴重な里山風景。駅からバスに乗って、ゆっくり歩いても2時間ちょっとなので、ぜひ天気のいい日に小野路の里山さんぽ、お試しあれ。
さて、本誌の大特集「町田・相模大野」には様々な企画がずらり。まず表紙から目を引くU字工事。実は大学時代から13年も町田に住んでいたそうなのです。まさに第二の故郷ともいえる町田の思い出の地を巡ってもらったU字工事のお二人をはじめ、来年デビュー20周年になるバンド「キンモクセイ」、『死にたい夜にかぎって』で注目の作家・爪切男といったゆかりの著名人たちのインタビューが並びます。
ほかにも「日本一の牛乳キャップメーカーが町田にある!」「スヌーピーミュージアムでシアワセを考える」「君はたまご街道を知っているか」などの当エリアならではの企画のほか、多摩丘陵の高低差を楽しむ「バスでらくらく町田高低差さんぽ」や東京と神奈川の都県境だからこそ楽しめる「飛び地を巡る境界線さんぽ」、「町田市が神奈川県町田市と間違われてしまう50の理由」などなど、地形や境界にまつわる企画まで盛りだくさんにお届けします。
また、第2特集「和さんぽのすすめ」は、海外との行き来がままならない今だからこそ、逆に日本の文化に目を向けた散歩を、と企画した特集。あえて東京らしい定番の浅草~両国さんぽを取り上げつつ、「季節を愛でる」「心を整える」「伝統工芸を嗜む」という3つのテーマで和の文化を楽しむきっかけを提案します。
さて、今や第3波の真っただ中。よりいっそうウイルスに気を付けたい時期です。今月も本誌を参考にしていただき、3密に避けつつ、散歩を楽しんでください。
土屋広道(つちやひろみち)
1972年埼玉県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。
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