殺処分やペット流通の闇に迫る! 命の大切さを問う動物マンガまとめ

アニメ・マンガ

2018/11/13

 今年は5年に一度の動物愛護法改正の年。近年は日本でも動物はペットではなく家族だという見方がなされてきてはいるものの、まだまだ動物を取り巻く環境は厳しい。そこで本稿では、動物の命について考えさせてくれる漫画を5作ご紹介したい。

■2人の少女が犬猫殺処分施設で見た現実とは?

 環境省の調べによれば、全国各地の保健所や動物愛護センターで殺処分されている犬猫の数は年々右肩下がりになっているという。しかし、殺処分に対する意識は各都道府県によって異なっているため、全国的に殺処分ゼロにするのはなかなか難しい。こうした殺処分問題をリアルに取り上げているのが『犬房女子 犬猫殺処分施設で働くということ』(藤崎童士/大月書店)だ。

 主人公である玲と和美は動物愛護法改正に伴い、熊本県の動物管理センターで働き始め、犬猫の命を守るために職場環境を変えようと奮闘。しかし、それはいばらの道だった。日本の動物愛護問題を浮き彫りにした本作は、ノンフィクション。他人事とは言えないペットの叫びに、ぜひ耳を傾けてみてほしい。

■ペット業界の裏にはびこる“悲しい闇”とは?

 ペット業界には表ざたにならない暗い闇があり、動物たちは声にならない悲鳴をあげている。『しっぽの声』(夏 緑:原作、ちくやまきよし:作画、杉本 彩:協力/小学館)はそんな闇にスポットを当てた社会派動物漫画だ。『獣医ドリトル』(小学館)でタッグを組んだ夏氏とちくやま氏が本作で描いているのは、ペット流通の闇。

 アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と獣医師・獅子神太一という2人の主人公を通しながら、ペットショップで売れ残った動物たちの悲しい行く末や命をモノとしてしか見ない悪質な繁殖業者を描いている。誰かと共に生きたくて生まれてきた動物たちの命が、この日本でどう扱われ、処分されているのか、少しでも多くの人に知ってほしい。

■ひとりの男性と1頭の犬が辿りついた終着点

『星守る犬』(村上たかし/双葉社)は2011年に実写映画化され、ファンも多い動物漫画だ。ある日、朽ち果てた車の中で寄り添うように発見されたひとりの男性と犬の遺体。2つの遺体は奇妙なことに、死亡時期が大幅に違っていた。男性は死後1年であるのに、犬は死後わずか3カ月であったのだ。この時間差が意味するものを知ったとき、読者は涙でページがめくれなくなるはず。

 人生とは、動物との絆とは一体なんなのかを考えさせてくれる本作は、生きるのに疲れてしまった人の心にも響く。悲しくも愉快なひとりと1頭が命がけで辿りついた旅の終着点はどこだったのだろうか。本作は続編も発売されているので、ぜひ照らし合わせながらチェックしてみよう。

■本当にあった猫と飼い主の感涙エピソード

 猫は神秘的な魅力を持っている動物だ。気まぐれなように見えるのに、本当はとても愛情深くて優しい。こうした猫の奥深さが所せましと収められているのが『猫が教えてくれたこと』(かばきみなこ:原作、みつき和美:漫画/アスコム)だ。

 本作には乳がんと闘う飼い主の心の支えになってくれた猫や親子の絆の強さを教えてくれた2匹の保護猫など、本当にあった感涙エピソードが全6話収録されている。全身を使いながら、愛情や思いやり、懸命に生き抜くことの大切さを教える猫たちの姿を見ていると、心がじんわりと温かくなるはず。猫好きさんはもちろん、そうではない方の心にも刺さる1冊となっている。子どもから大人まで楽しめるので、親子でも読んでみてほしい。

■元捨て犬が介護施設でセラピードッグに!

『犬がとなりにいるだけで』(北川なつ/実業之日本社)は実話をもとにした、奇跡の物語。介護施設に逃げ込んできた捨て犬のボタモチは、セラピードッグとして育てられることになり、施設へ入居しているお年寄りたちと心の交流をしていくようになる。

 人を笑顔にし、人の涙を優しく拭うボタモチは入居者たちに生きる希望を与え、限りある人生を変えていくのだ。誰にとっても、老いることや死ぬことは怖く感じられるもの。しかし、ボタモチのようなセラピードッグが傍にいてくれ、笑いながら最期の瞬間を過ごせるのであれば、人生の終わりも違ってくるはず。「自分もこんな終わりを迎えたい…」読後にそう思わせてくれる魅力が、本作にはあるのだ。

 私たち人間は自分の都合や感情に合わせて、動物の命を振り回してしまってはいないだろうか。そう考えさせてくれる5作の動物漫画は小さな命との向き合い方を私たちに問うている。動物の命を守れるかどうかは、人間の心にかかっているということを私たちは忘れてはいけない。

文=古川諭香