私たちが今求めているのは、愛か孤独か絶望か?

特集番外編1

2019/9/6

私たちが今求めているのは、愛か孤独か絶望か?

編集M

 気が付けば特集記事、43ページも組んでしまいまして……。

 サブタイトルは「私たちが今求めているのは、愛か孤独か絶望か?」と題したのですが、そういった<特集の方向性>を決めてからというものの、大量の文豪資料や本を漁ってはウンウンとうなっている同特集担当の後輩・K(教科書のように詳しい紙面になってます)……の、横で撮影ロケ地を探しながら衣装打ち合わせなどでてんやわんやで電話が鳴りやなまい私(自分が見たいから、という理由で中二病感ある紙面にしたく必死だったという)……。

 私は主にグラビア紙面担当させていだたきまして、今回、お世話になりました皆様に撮影のお礼を伝えさせていただきたいです。感謝申し上げます。

 今特集、本当に自分の好きにアイデア出し&ディレクションをさせていただきました。

 太宰治をイメージした衣装を纏い、扉も飾って下さいました高杉真宙さんグラビアでは、スタッフの皆様、そして高杉真宙さんの多大なるご協力をいただきまして……。

 映画『見えない目撃者』の取材日なうえ、直前の急な依頼(しかも私は「はじめまして」)だったのにも関わらず、高杉真宙さん、太宰治作品をたくさん読んでくれてきて(当日も本を持ってきてくれていました)。

 撮影中も「太宰治のイマジネーションで撮影したいんです」と私の無茶な申し出に、「わかりました」とカメラ前では以後まるで違う表情をくださり、「すみません、まだまだ太宰作品を勉強したかったのですが」と取材中もおっしゃってくれていて。(重複になりますが、圧倒的に私の無茶な急な依頼でしかない)

 実直で真面目な方で、一瞬でファンになってしまいました。

 そして中村倫也さんのグラビア紙面ですが、(本誌にて「やんごとなき雑談」エッセイ連載も担当させてもらっています)マネージャーさんに、「乱歩のエログロ変態性の表現を写真でみたいんです」と前々から相談させていただき、「とことんやりましょ!」と長時間、割いてくださいまして。涙

 中村先生には以前、「彩瀬まるさんが書き下ろした小説をイマジネーションして演じたグラビアで魅せる」という企画をやらせて頂いていたこともあり、今回も撮影当日、特に何も言わずスーっと来てスーッと作ってくれて、ちなみに最後のページの表情はもともと似て非なる(と私は思っていた)別の感情の一文を入れてたのですが、「どっちですか? 俺の中で違うんです」と言われ、「ではこちらで」と申すと、そこから一瞬で表情がかわって……またも俳優・中村倫也の凄みを見せつけられました次第です、役者さんってこわい(※ぜひ紙面で確認ください)。

 しかも何度も「変態性を!」と求める編集者の謎の要望にも応えていただき、UPした写真を見ながら、くそう(?)相変わらず痺れるわ……とまたも素敵な貴重な時間を頂戴いたしました。
(ただうって変わって撮影合間に、お菓子を持ってマネージャーさんやメイクさんとキャッキャとなってる先生に、私は「小学4年生男子」という呼び名をつけました)

 連載エッセイも是非ご高覧ください!

 また映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の小栗旬さん取材時には「太宰治って生命力がこれほど溢れてたのか」とまるで対極なるイメージを頂き、蜷川実花監督の紡ぐ映画作品の美しさに興奮し、文豪特集内では<はじめて>のインタビューをさせて頂いた小栗さんの言葉言葉は勉強になり、「そうか、太宰とはそうなのか」を改めて考えさせていただけた記事になりました。

 今回特集、振り返ってみればたくさんのご協力を頂きながら記事にできたと改めて思います。

 最後に、カメラマンの干川修さん。わがままな編集のディレクションに付き合ってくださり、また素晴らしい写真撮影くださり本当にありがとうございました。

 あと、この場を借りて。 

 塩田武士さん長編連載『デルタの羊』、実は今月号で「最終回」予定だったのですが、大幅に文字数を超えて頂戴し、来月号まで「了」は持ち越しになりました。私の手元にはラストまでの原稿を頂戴しています。

 塩田さん、半年にわたりご執筆お疲れ様でした。アニメ業界の今と未来、そしてアニメ制作と担い手の素晴らしさを、一年にも渡り取材を何度も重ね、書き上げてくださりました。本当にありがとうございました……!

 

推しは宮沢賢治です

編集K

 文豪の定義は定かではない、というのがこの特集に取り掛かるに当たり最初に知ったことだった。

 やはり文豪と言うと、明治や大正のレトロな時代を駆け抜けた大作家というイメージがあるが、今回取材した中であえて昭和を生きた小説家を文豪としてあげてきてくださった方がいた。
(実際の誌面では、今回の特集に限り「没後50年」を判断の基準の一つに据えたため、別の文豪をあげて頂いている)

 全体の記事構成には大まかに2つの軸があり、一つは小説、マンガ、グラビアという3つの表現形式によって、文豪というテーマに取り組んでみるということ。

 もう一つは、文豪の生き様や彼らが生きた時代を情報としてまとめてみる、というものだった。

 前者においてマンガ界の巨匠・いがらしみきお氏と、いま注目のミステリー作家である青柳碧人氏が、そろって太宰治、芥川龍之介がある作品を生み出した瞬間を描こうとしたのは偶然だっただろうか。

 一方、後者では「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」シリーズや、『芥川賞ぜんぶ読む』などの著作があるライター・菊池良氏に取り上げる文豪の選考と執筆を依頼した。

 菊池氏は32歳とまだ若い書き手だが、誌幅の都合がある中で「日本文学にイノベーションを起こした」という基準で18名の文豪をセレクトし、それぞれの作家が生きた時代と現代に残したインパクトを、まざまざと活写してくれた。

 脱稿後に氏から届けられた巨大なダンボール箱一杯の資料が、その労を物語っている。

 さらに特集の入り口として、『文豪ストレイドッグス』という押しも押されもせぬ人気コンテンツの原作者・朝霧カフカ氏にお話を伺った。

 累計750万部を突破したコミックスはもちろんだが、アニメや舞台、イベント等にも多くのファンが詰めかけている。

 なぜ今、文豪だったのか。

 氏の言葉によれば、文豪といういわば業界の大先輩を題材として扱うというプレッシャーは、やはり感じているという。

 しかしながら作画の春河35氏とともに現代的なクリエイティブに挑戦し、成功している背景には、文豪という言葉が抱えるイメージと時にしのぎを削り、時に共闘するような、時代を超えた協力体制のようなものがあると感じた。

 まだインターネットのなかった時代に、手書きで原稿を執筆し、先輩作家の薫陶を受けながら、雑誌という場や手紙などを通じて交流をはかり、互いの創作を深めてき文豪たちの姿は、やはり現代のクリエイターにとっても憧れの存在なのだ。

 一冊の本や一本の映画を見る前に、彼らのことを知るだけでその理解が少しでも豊かになると思う。

 ぜひこの特集を通じて、偉大なる先人たちの魅力の一端に触れてみてくだされば、願ってもない喜びです。