「もう恋なんて」と感じている人にこそ読んでほしい大人の恋愛小説。川上弘美が“国語教師との再会”を描く
恋は苛烈なものだと、突然火がついて身を焼き尽くすものだと、幼い頃はそう思い込んでいた気がする。だが、恋には人それぞれの形がある。じっくりじんわりコツコツと。大人にはそうやって徐々に温まっていくお付き合いだってあるのだ。 段々と春めいていくこ…
恋は苛烈なものだと、突然火がついて身を焼き尽くすものだと、幼い頃はそう思い込んでいた気がする。だが、恋には人それぞれの形がある。じっくりじんわりコツコツと。大人にはそうやって徐々に温まっていくお付き合いだってあるのだ。 段々と春めいていくこ…
名前も記憶もない、性別さえ分からない「誰でもない者」。人間に擬態することで生き長らえることができる未知の生物が主人公となる本小説『某』(川上弘美/幻冬舎)。川上弘美さんの大ファンである私は、本書を読みはじめる前に著者には珍しいテイストの作品…
母と娘の関係は、時に密になりそして、時には疎遠になりながら、独特の親密さと遠慮を持って、続いていくものなのではないでしょうか? 娘が幼い時や、娘に子供ができ、母親がおばあちゃんになった時など、「お母さん」や「おばあちゃん」という、“役割”が与…
「蛇を踏む」は、たいそう面白い小説なのである。ただし、「笑っていいとも」かなんか見ながら「明星一平ちゃん」をすすったそのまんまの気分でダラダラ読み始めたりすると、なにがなんだかさっぱり分っからねえ事態に陥るので要注意ではあるのだ。 なにを準…