西郷隆盛の悩みはメタボだけじゃない? 坂本龍馬はアルコール依存症? 医者の視点で見れば偉人の印象が変わる!

暮らし

2017/12/13

『日本史100人のカルテ』(和田秀樹:監修/宝島社)

 先日、健康診断を受けてきた。自分では普段から歩いているし、体重は減っているだろうと思っていたが、実際には変わりなかったうえ、医者の問診では悪玉コレステロールへの注意を受ける始末。その結果に不貞腐れながらダラダラとネットを眺めていると、2018年のNHK大河ドラマ『西郷(せご)どん』の話題を目にする。そういえば西郷隆盛もいわゆる「メタボ」だよなと思い出し、あの時代の健康管理はどうなっていたのだろうかと気になりだした。

 そんな折に見つけた1冊が『日本史100人のカルテ』(和田秀樹:監修/宝島社)である。本書はマスコミでも人気の精神科医・和田秀樹の監修により、日本史に重要な足跡を残した偉人100人を現代医学で診察。通説とは異なるオリジナルの解釈も交えており、意外な印象を得ることもあるだろう。その中でも西郷をはじめとした、幕末を代表する3人を取り上げてみたい。

■不整脈と象皮症の西郷隆盛

 西郷隆盛といえば、その「メタボ体形」を連想するが、そうなったのは中年期になってから。酒は飲めなかったが、鰻や黒豚など高脂質な食事を好んでいたようだ。そのため西南戦争時には不整脈に悩まされ、反乱軍の指揮もままならなかっただろうと本書は診断。また、歴史ファンには周知の事実であろう、人の頭ほどに腫れあがった陰嚢も印象深い。沖永良部島で監禁されていた頃に感染したフィラリアによる象皮症だという。寄生虫が皮下組織で増殖、表面が象の皮膚のように変形する病気だ。西郷自身もそれを気にして、維新後は外遊に出なかったとも。今まで、西郷の生涯を描いたドラマは数あるが、これらの症状を正面から描いた作品はあっただろうか? 『西郷どん』ではこれらの事象が描かれるのか、興味津々である。

■ADHDとアルコール依存症の坂本龍馬

 西郷に並ぶ幕末の英雄といえば何といっても坂本龍馬だろう。彼に明朗快活な好青年の印象を抱いているファンも多いのでは? しかし、残された自筆の手紙は自由奔放な書きぶりで読みづらく、整理整頓が苦手で自室も常に散乱。また、好奇心が強い反面、落ち着きがなく空気を読まない言動も多く、これらを考察するとADHD(注意欠如・多動性障害)の疑いがあるという。また、龍馬といえば懐に手を入れるポーズが印象的だが、これは慢性的な胃腸の不快感から腹をさすっていただけとのこと。日頃から飲酒量が多く、胃潰瘍か十二指腸潰瘍を患っていた可能性がある。そして、あの革靴のせいで水虫を悪化させたとも。英雄も一皮むけば、ただのオジサンなのだ。

■晩年まで健康を維持し、明治を生き抜いた徳川慶喜

 体調に不安を抱える偉人がいる一方で、動乱の幕末から明治を健康なままに生き抜いた人物もいる。徳川家最後の将軍にして最長命であった徳川慶喜だ。大政奉還から鳥羽伏見の戦いでの敗北後、実に30年以上もの間、明治政府から監視される受難の生活を送るが、心身ともに健康的な晩年を送っているのだ。その秘訣は元来持っている「屈強な精神力」に加え、「多彩な趣味」と「塩分控えめな食生活」だと本書は分析。武術に狩猟、囲碁、絵画、音楽鑑賞に写真撮影などを嗜んでいたといわれ、それらの趣味で心をケアし、食生活で体をケアしたのだ。好物だった漬物を控え、代わりに海産物を食べるよう心がけ、晩酌には薬草を添加した薬用酒やワインを少量ずつ飲んでいたとのこと。それが功を奏し、77歳の天寿を全うしたのである。

 読後は「もし西郷や龍馬が健康だったら」と想像してしまうが、歴史にif(もし)はない。それよりも慶喜を見習い、自身の健康を大切にしたほうが前向きというもの。せめて小生も、健康的な食生活から始めたいところである。

文=犬山しんのすけ