「自分の顔が大キライ」だった整形経験者が教えてくれたこと

暮らし

2018/6/24

『自分の顔が大キライ』(長谷川ケイ/イースト・プレス)

「整形したい」と思ったり口にしたりしたことがある女性はけっこう多い気がする。でも、そのうちどれだけの人が実際に手術に臨むのだろうか。『自分の顔が大キライ』(長谷川ケイ/イースト・プレス)という衝撃的なタイトルのコミックエッセイには、21歳のとき整形手術に踏み切った著者の半生がせきららに描かれている。

 著者の長谷川ケイさんが美容整形を決意したのは中学2年生のとき。自身が思い描いている外見と、写真に写った自分の顔があまりにも違っていたことがきっかけだった。さらにその後、海でからまれた男性に「こんなブスやと思わんかった」と心ない言葉を浴びせられたり、アルバイト先で慕っていた社員に裏で悪口を言われていたり、外見のせいで嫌な思いをすることが多かった彼女。「美人は得でブスは損」という考えをどんどん強めていった結果、新しい自分に生まれ変わるため、エラ骨カットや目頭切開をはじめ、顔全体におよぶ整形手術を受けたのだった。

 美容整形は「賛成か反対か」「いいか悪いか」という二項対立で語られることが多い。しかし、この議論は本質とズレているのではないかと思っていた筆者。本書を読んでから、その思いはさらに強くなった。

 長谷川さんが整形を決意したのは「新しい自分に生まれ変わりたい」という願いから。そこにあるのは、外見のコンプレックスのせいで、ネガティブになってしまったり他人を信用できなかったりする自分を変えたいという強い思いなのだ。これは、視力が悪い人が眼鏡をかけたり、歯並びの悪い人が歯列矯正をしたりするのと同じで、自分の人生をより「快適」にするために必要なことだったのではないかと思う。

 もちろん、外見が変わればそれだけで人生がガラッと好転するわけではない。華やかな見た目に生まれ変わった長谷川さんも、自分の本来の中身が新しい外見に釣り合わないのではないかと、悩み葛藤する時期もあった。そのなかで彼女は「外見に限らず誰しもがコンプレックスを抱えている」ということや、「人には見た目以外にもいろいろな魅力がある」ということに気付くことができたのだが、もしも整形をしていなければ、ずっと外見の良し悪しだけにとらわれて、生き辛い人生を送っていたのではないだろうか。

 だから、美容整形は周囲が賛成か反対か、いいか悪いかと騒ぎ立てるものではなく、本人が「したいか」「したくないか」。そしてそのあと「自分をどう変えていくのか」。ただそれだけの問題なのだ。

『自分の顔が大キライ』。このタイトルに少しでも心がざわっときたら、ぜひ手にとってみてほしい一冊である。

文=近藤世菜