野菜嫌いの子どもが喜ぶ! 「簡単」「シンプル」「おいしい」が揃った究極のスープレシピ

食・料理

2018/10/22

『スープ・レッスン』(有賀薫/プレジデント社)

 子どもが野菜を食べてくれない。幼児期のお子さんを持つ家庭によくあるお悩みではないだろうか。かくいうわたしの3歳になる娘も、ご多分にもれず、野菜のおかずを出すとプイッと横を向き、納豆ごはんを要求する。その一方で、たいていの子どもが好きな鉄板の料理がある。オムライス? ハンバーグ? いや、そうではない。“汁”だ。

 味噌汁やスープのほか、うどんやラーメンの汁まで、何かと“汁”好きな子どもは自分の周りにも多い。実際、保育園の給食でも汁物の人気はとても高いという。野菜嫌いでも、汁につかっていれば食べることがあるという子も多いのではないだろうか。

 それならば、味噌汁でいいじゃないか。毎日、具だくさんの味噌汁を作って、一汁一菜でよいのではないか、と考えるむきもあろう。しかし、冗談言うなと思われるかもしれないが、働く母としては、だしをとったり、味噌をとくのが億劫な日もある…わたしにはあるのだ。

 そこで、わたしのようなズボラ(?)感覚をお持ちのワーキングマザーの皆さんにおすすめしたい一書が、スープ作家である有賀薫さんの『スープ・レッスン』(プレジデント社)である。

メインの野菜はひとつ。味付けは最小限。旬の野菜をたっぷり味わう究極のシンプルレシピ。

と解説されている通り、1~2種類の野菜を切る、煮る、味付けは塩、以上。というようなごくごくシンプルなレシピが中心のスープの本だ。夏・秋・冬・春の順に、4章に分けて、旬の野菜を使ったさまざまなスープが紹介されている。

 筆者自身が有賀さんのスープに出会ったのはTwitterだった。晩ごはんのメニューは決まっていないけれど、スーパーに新たな食材の買い出しに行く気力も時間もない! という日に、たまたま見かけたのが、本書にも掲載されている「焦がしキャベツのスープ」のレシピだった。

 くし切りにしたキャベツを、油をひいたフライパンで焦げ目がつくまで焼き、ベーコン、水、塩を加えて煮る。文章にしても1行ですんでしまう本当に簡単なレシピだ。キャベツがドドンと存在感のある、煮物のようなスープのようなものができあがった。これを野菜嫌いだが汁好きではある娘に出してみたところ、ほっぺに手を当てて「おいしい」とぺろり完食してしまったのだ。

 それまでわたしは、スープといえばコンソメや鶏がらスープの素など、何らかのだしのベースがないといけないものだという固定観念にとらわれていた。しかしこの「焦がしキャベツのスープ」で、それらがなくてもまったく問題ないことに初めて気がついた。

 本書のスープのレシピは、メインになる野菜のうまみを十二分に引き出す最小限のステップ、最低限必要な調味料や食材をとことん考え抜いて生み出されたものだという。おいしくても難しければダメ、簡単でもおいしくなければダメ。なるべくシンプルに野菜を食べる、というところが発想の原点になっている。それを支えるのが、あとがきにあった以下の言葉だ。

野菜たちは、すでに十分おいしいものだ、という信頼感が、最初にあるのです。

 もしかしたら、今までわたしは子どもに食べさせるために野菜の存在感をごまかす方面にばかり気持ちが向いてしまい、野菜本来のおいしさを信頼していなかったのかもしれない。ふだんは野菜を進んで食べない娘が、キャベツの原型をとどめたスープをがっつり食べたのは、キャベツ自身のおいしさのおかげだったのだろう。

 本書を購入してから、「ほうれんそうのくたくたスープ」「四種のきのこ汁」などすでにいくつかのスープを作ったが、どれも娘は完食。ほぼ30分以内で作れるものが多く、しかもその半分は煮込んでいるだけの時間だったりするので、その間にもう1品作ったり、配膳の準備をしたり、と別のことができるのもうれしい。また、油を変えてみようかな、この野菜の組み合わせはどうかな、など、シンプルゆえに冷蔵庫にあるものでアレンジを考えられるのもよい。

 おかずが買ってきたお惣菜でも、なんなら納豆ごはんだけだって、旬の野菜のおいしさを味わえるスープがそこにあるだけで、ほんの少し上等で満足度が高い食事になる。シンプルな野菜の優しさとスープのあたたかさが、時間がない忙しい日々に、ちょっとした余裕と豊かさを与えてくれるのではないだろうか。

文=本宮丈子