「私にはどうしていいことが起きないの…」占い師・しいたけ.が教える“人生に幸せを呼び込む処世術”

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更新日:2018/12/21


『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(しいたけ./KADOKAWA)

 独自の観点と優しい言葉で読者を惹きつけている、占い師のしいたけ.氏。2014年から連載が開始されたウェブマガジン『VOGUE GIRL』の「しいたけ占い」に綴られているしいたけ.氏の言葉はもはや占いの域を超えると、幅広い層の支持を集めている。

 そんなしいたけ.氏が、自身の経験を活かして記したのが、初のエッセイ本となる『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(しいたけ./KADOKAWA)だ。

 本書には毎日の生活で使える実用的な開運法や処世術が綴られており、これまでに「しいたけ.ブログ」や「しいたけ.note」で発表してきたエッセイへの加筆も一部加えた、全62編を収録。人生の壁にぶち当たっている人々へ、自分らしい幸せの見つけ方と、肩の力を抜くコツを伝授している。

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 占い師としてだけでなく、作家としても活躍の幅を広げているしいたけ.氏が送るメッセージは、涙の日を乗り越えるための武器になるだろう。

■ハズレクジを引いて人生の成功者に

来たいときに来て、帰りたいときに帰る「用がないのに居られる場所」って、すごく大事だと思うのです。誰かや何かによってそこに居させられるわけではなくて、なんとなくそこに溜まりたくなるような心地良い温度に保たれた場所。
この本もそういう部屋になって、ほっこりしてもらえたらすごく嬉しいのです

 書籍名の由来をそう語るしいたけ.氏の初エッセイ本は、不思議と読んでいるだけで心がポカポカと温められ、良いエネルギーを蓄積させられている気持ちになる。

 例えば、「成功者になりたい」「どうして自分にはいいことが起きないのだろうか…」と悩んでいる方にぜひ読んでほしいのが、第1章に記されている「ハズレクジは引く人にやさしい」だ。

 一度きりの人生の中で「成功者になりたい」と思っている方は多いはず。しかし、成功を引き寄せるような“当たりクジ”を引くには運も味方につけなければならないため、「自分には無理だ」と諦めている人もいるだろう。そんな悩みを抱える人に対して、しいたけ.氏が送るアドバイスは「ハズレクジを丁寧に扱うこと」だ。

「成功する・しない」って、「当たりクジを引く前に、どれだけハズレクジを引いてきたか。そして、そのハズレクジをどのように扱ってきたか」が試されているんじゃないかと思いました。

 この言葉は、運を言い訳に成功のチャンスを逃してきた人の心にグサリと刺さる。

 “ハズレクジ”とは、人生で不運と思われることや損な役回りを引くような出来事のことだが、そもそも長い人生の中で当たりクジに出会える確率は限りなく低い。そして面白いことに、実力がないうちは当たりクジを引けても成功に結びつかなかったり、逆に重荷になってしまったりすることもある。

 しかし、普段からハズレクジを丁寧に扱っていれば、「ものを見るやさしさ」が備わり、自分の可能性を自らの手で広げていくことができるため、当たりクジをチャンスに繋げられるようになれるという。

 ハズレクジを引いてしまったとき、人は「この仕事は自分には向いていない」「魅力を感じないから手を引きたい」と思い、さじを投げてしまいやすい。だが、ハズレクジを当たりクジに変える生き方ができれば、本当の意味での成功者になれるのだ。

■恋人との喧嘩には「勝とうとしない」

 また、第3章は「恋愛」に関する悩みに応える内容になっている。大好きな人とは毎日笑い合いながら楽しく過ごしていきたいものだが、どうしても仲たがいや喧嘩をしてしまうときもある。こうした争いは別れに繋がってしまうことも多いため、しいたけ.氏はお互いが心地よい関係を築いていくために、喧嘩になったときは相手に勝たないことを心がけてみてほしいと語っている。

 読者のみなさんに今一度思い返してみてほしいのが、恋人と喧嘩をしたとき、自分が相手に対してどんな態度を取っているかということ。もしも、相手に勝とうとしてしまうことがあるなら注意が必要だ。

 なぜなら、どのカップルも必ず力関係で強いほうの人と弱いほうの人がいて、喧嘩のときは弱い立場の人が謝ることで争いが終わることが多いからである。たいてい、こうした謝罪は、自分が謝らなければ喧嘩が終わらないことが分かっているから出てくる。そして、弱い立場の人はモヤモヤした気持ちを引きずり、別れを考え始めてしまうなんてことも。そうなると、もはや恋人同士ではなく、「支配者」と「被支配者」のような関係になり、対等ではなくなってしまうという。

 恋愛は対等であってこそ、幸せを感じられ、安心もできるもの。そのため、仲たがいが発生したときは相手を責めるのではなく、まずは歩み寄ることにエネルギーを使っていくよう、しいたけ.氏は提唱している。

喧嘩や仲たがいが発生したら「仲たがいが発生したな、こりゃ」と思って、まずわかり合えることを信じてみる。それが信じられなくなったり、相手への関心がいろいろあって今は持てなくなってしまったりしたら、距離を取るのもありです。勝ちそうになったら、退く。「言いすぎた。ごめん」って。それが良い喧嘩や仲たがいの秘訣なのです。

 星の数ほどいる人の中から巡り逢えた相手は自分の人生において、重要な存在であり、宝物にもなる。目の前にある恋を未来に繋げていくには勝ち負けではなく、相手をどれだけ幸せにできるのかに着目できる人になりたいものだ。

 しいたけ.氏が紡ぐ文は恋愛や仕事など、生きていく上では避けられない人生の悩みに優しく寄り添ってくれる。辛いことがあったときだけでなく、嬉しいことや楽しいことがあったときにも開きたくなる本書は、様々な感情を吐きだせる居場所にもなってくれるだろう。

文=古川諭香