YOASOBIのAyase「モンハン攻略本をボロボロになるまで読んだ」読書が音楽活動に与えた影響【私の愛読書】

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/1

YOASOBI

 5月10日に『はじめての – EP』をリリースしたYOASOBI。本作は島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんという4名の直木賞受賞作家の小説を原作にした楽曲が収録されている。

 YOASOBIはデビュー作「夜に駆ける」以降、小説を音楽にすることをコンセプトに活動してきた。「読書」と密接な活動を続けてきたYOASOBIの2人は、いったいどんな本を読んできたのだろうか。

 さまざまなジャンルで活躍する著名人たちに、お気に入りの一冊をご紹介いただく連載「私の愛読書」。今回はYOASOBIのikuraさん、Ayaseさんそれぞれにお話を伺った。

(取材・文=金沢俊吾 撮影=干川修)

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『ふたつのしるし』

ふたつのしるし
ふたつのしるし』(宮下奈都/幻冬舎)

ikura:高校1年生のときに初めて読んだ宮下奈都さんの小説です。私の人生の1冊といえるような本だと思っています。周りの人とうまくいかずに生きづらさを感じていた2人が奇跡的な出会いをして、人生で大切なものをみつけていくというお話です。

 私も学生時代、周りとの違和感というか「なんか人とずれてるな」と思いながら過ごしていました。すごく悲しい思いもしたんですが、家族の支えもあって自分を無理に押し殺すことなく今日まで生きてこれたんです。ふりかえると、私はこの小説から「生きづらくてもいつか大切な人に出会える」ということを教えてもらった気がして。

 そのおかげで、こうして一緒にお仕事しているチームのみんなと出会えたと思っているので、私にとって本当に大切な小説なんです。

『モンスターハンターポータブル 公式ガイドブック』

モンスターハンターポータブル 公式ガイドブック
モンスターハンターポータブル 公式ガイドブック』(ファミ通書籍編集部:編/エンターブレイン)

Ayase:プレイステーション・ポータブル(PSP)のゲーム「モンスターハンターポータブル」の公式ガイドブックです。小学校6年生の頃、モンハンにハマって、これはボロボロになるまで読みました。そもそも攻略本を読むのが好きなんですよ。いまでも、プレイしたことがないゲームの攻略本を読んだりするぐらいです。

 公式ガイドブックは「リオレウスの生態」みたいなことがたくさん書かれていて、図鑑としての面白さがあるんですよね。ただゲームをプレイしているだけでは知ることができない情報が載ってるのが、めちゃめちゃ面白くて。ikuraの『ふたつのしるし』みたいに、自分の人生に影響があったのかと言われるとわかんないですけど(笑)。でも、ただゲームだけで楽しんでいたのが、背景やストーリーを知ることでより好きになるという経験は、「楽曲を聴くことでより原作を楽しめるものを作りたい」というYOASOBIの活動の軸につながっているような気もするんです。

<第21回に続く>

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